2020-03-26

カクレゴケ



 写真はカクレゴケ Garovaglia elegans です。 樹幹についていました。 基物上を短く這う一次茎から二次茎が立ち上がり、密に葉をつけます。 日本での分布は宮崎県以南で、絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。
 学名の属名は人名ですが、種小名は「優美な」という意味で、よく生長した場合には、二次茎はほとんど分枝せずに長さ5cm以上にもなり、その自重で垂れた後に茎の先を持ち上げている群落は、たしかに風雅なのかもしれません。 写真の場所の木にも、高さ7~8mの所に大きく育った群落があったのですが、手の届く所には、上の写真のような二次茎の長さが2cmにも満たない小さな群落しかありませんでした。


 二次茎の基部には、たくさんの仮根があります。 葉は光沢があり、長さは4mmほどです。


 葉は卵形で、先は急に細くなっています(上の写真)。 葉面は凹んで、深い縦じわがあります。 中肋は短く、2叉しています。


 中~上部の葉縁には、上の写真のような歯があります。


 葉身細胞は長菱形で大きく、長さは 80~100μmもあり、赤い円で示したように、所々細胞壁にくびれが見られます。

 ところで、和名はどういう意味なんでしょうね。 大きな群落の中に妖精でも隠れているのでしょうか。

(2020.3.4. 屋久島)

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