2021-02-10

マルバヒメクサリゴケ

 

 カギヤスデゴケを調べるつもりで採集したところ、上の写真のように、小さなタイ類がついていました。 M氏の力を借りて調べたところ、マルバヒメクサリゴケ Myriocoleopsis minutissima のようです。 なお、本種の学名は平凡社の図鑑などでは Cololejeunea minutissima となっていますが、2014年に R.L.Zhu,Y.Yu et Pócsによって上記学名に変更されているようです。


 平凡社の図鑑では、本種は常緑樹林帯で樹幹に着生、海岸付近に多いとあります。 写真のものは海からは 20km以上離れた箕面公園の、ガードレールについていたカギヤスデゴケの上です。 あまり良い生育環境ではなかったようで、葉が離在したり傷んでいる所も多いのですが、元気そうな所を見れば葉は接在していると言って良さそうです。
 背片は円形で縁は円鋸歯状、円頭です。 腹片は背片の長さの3/4以上、幅も1/2以上あります。 腹葉はありません。 球形のものは造精器だと思います。

 以下、同定のポイントとなる腹片の歯の様子が分かる写真を4枚並べます。




 腹片の第1歯は1細胞幅で2細胞長、第2歯は小さな葉でははっきりしない場合もありますが、1(平凡社の図鑑では~3)細胞からなっています。
 上の最後の写真は、葉が傷んでいて分かりにくいのですが、透明細胞がいちばん分かり易いので、下に線を書き加えたものを載せておきます。

 上は青い線で腹片の縁を示していて、赤い楕円の所(第1歯の基部の裏側)に透明細胞があります。

 上は葉身細胞です。 油体は小粒の集合で、ベルカがあります。

(2021.2.1. 箕面国定公園)

こちらには蒴をつけたマルバヒメクサリゴケを載せています。


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