2021-05-04

シゲリクラマゴケモドキ

 

 上の写真の右側の樹幹についたコケ、調べてみるとシゲリクラマゴケモドキ Porella densifolia var. fallax でした。

 湿らせた状態で、葉を含めた茎の幅は3mmほどです。 上は腹面から撮っていますので、背片の背縁が茎の反対側に張り出す一歩手前まで伸びていることは上の写真からは確認できませんが、背片の長さは2mmほどです。

 黄色い円で囲んだ所は雄花序で、各鱗片葉の間には造精器が作られます。 なお、本種は雌雄異株です。

 背片は葉先に1~3歯があり、縁は全縁でやや内曲しています。 腹片は舌形で、密に重なっています。 腹葉は舌形で葉先は円頭~やや凹み、葉縁はやや外曲しています。

 平凡社の図鑑のクラマゴケモドキ属の検索表では、①腹片と背片は合着してキールがあるか1点で接するか と ②腹片の腹縁基部は背縁基部の高さと比較してほぼ同じか低いか の2点がポイントになります。 本種は腹葉も腹片も密に重なっていて、そのままでは観察が難しいので、①と②が観察できるように邪魔な葉を取り除いたのが上の写真です。
 上の写真を見ると、キールはありませんし、腹片の腹縁基部は背縁基部より下にあります。 ちなみに、腹葉の基部がほとんど下延していないのも本種の特徴の1つでしょう。

 以下は背片、腹片、腹葉ですが、腹面から見た茎との関係を理解するため、茎を赤い線で表してみました。 断面が円い茎についている葉を平面にしたプレパラートですし、プレパラートにした時の葉の曲りもありますので、誤解を招く可能性もありますすが・・・。

背片

腹片 腹縁基部にひだがあります

腹葉

 上は葉身細胞です。 油体はたくさんあり、小さな楕円体で均質です。

(2021.4.15. 兵庫県養父市大屋町 三ノ宮神社)

◎ シゲリクラマゴケモドキはこちらにも載せています。



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