2021-05-03

フタバネゼニゴケ(不稔の雌器托や気室孔など)

 たくさんの雌器托をのばしているフタバネゼニゴケ Marchantia paleacea ssp. diptera の群落がありました。 この雌器托を上から見ると・・・

 まだ時期が少し早くて伸びきっていませんが、どの雌器托も傘の裂片のうちの2枚だけが発達していました。 和名の「二羽」はこの姿に由来するのでしょう。
 本種は雌雄異株で、雌株は雌器托の傘の下に造卵器をつけます。 この雌器托は受精が成立した場合は、こちらに載せたような裂け目のある円形の傘になりますが、受精できなかった場合は上のような姿になります。(こちらにはこの雌器托が褐色になった冬の姿を載せています。)

 上はこの傘の断面です。 傘の表面にはたくさんの気室孔があり、傘の裏面には造卵器が並んでいるのですが、半透明の細胞で形成されている造卵器は、上の写真ではよく分かりません。 下は上の写真の赤い四角で囲った部分の拡大です。

 造卵器の底(上の写真では上方)には卵細胞があります。

 上は傘表面の気室孔の拡大です。

 上は葉状体の断面です。 上の写真では気室孔が2つ写っていて、背面表皮の下には葉緑体をたくさん持った同化糸が集まって気室を形成しています。 その下の柔組織(髄質)に所々見られる色の濃い部分は油体細胞です。

 上は気室孔の断面の拡大です。 気室孔をとりまく樽型に配置した細胞は、気室孔に面する側が肥厚しています。 本種の気室孔の底はほとんど細胞で塞がれていて、細胞間が黄色の矢印で示した所でわわずかに開いているだけです。

(2012.4.30. 箕面公園)

◎ 本種の腹鱗片とその付属物や無性芽器の様子はこちらに載せています。

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