2021-06-17

アカンサス

 兵庫県西宮市の北山緑化植物園で咲いていたアカンサスです(撮影:2021.6.11.)。 「アカンサス」は属名で、地中海沿岸地方を中心に50種ほどあるのですが、日本で多く育てられているのは、写真の Acanthus mollis で、ハアザミという和名が与えられています。 もちろん花でも分かるようにアザミの仲間ではなく、キツネノマゴ科に分類されています。
 下は上の写真の一部です。

 手前のキク科(名前は調べていません)が邪魔ですが、アカンサスの大きな葉が写っています。 下はこの葉だけを大きく撮った写真です。 


 和名のハアザミはこの葉に注目してつけられているのでしょう。 この美しい葉形の目立つ葉は原産地でも古くから注目されています。 古代ギリシア建築のコリント様式ではアカンサス紋様の柱頭装飾が特徴ですし、現代のヨーロッパでも、家具や雑貨で見られる植物の模様の多くはアカンサスですし、ギリシャの国花でもあります。 明治にヨーロッパの文明を取り入れた日本でも、賞状の縁や現行1万円札など、様々なところでアカンサス文様が見られます。 唐草文様の始まりもアカンサスからと言われています。

 花を横斜め下から撮ってみました(上の写真)。 オシベ4本はくっつきあっていて、メシベはその上に伸びています。 花弁は上唇が退化していて、先が3裂した下唇だけになっています。 その外側にガクがあるのですが、下方のガク片は大きな鋭い棘のある苞に隠されていて、上の写真では見えません。

 上は花の正面から中を撮った写真です。 この花がどのようにして虫に花粉媒介させようとしているのか、考えてみました。(考えてみただけで観察はできていません。)
 虫が飛来して花の奥にある蜜を求めて内部に侵入しようとすると、まず前方に突き出ているメシベの柱頭で虫が運んできた花粉を受け取ります。 虫はオシベの下の隙間から奥に進もうとしますが、その時4本のオシベの間にある白い毛に触れます。 葯は白い毛の方向に開裂していて、白い毛の振動によって虫の背に花粉が降り注がれます。

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