2021-06-03

オオヒモゴケ

 

 写真はオオヒモゴケ Aulacomnium palustre のようです。 本種の国内における分布は、平凡社では中部地方以北となっていますが、上の写真は栽培されているサラセニアの鉢の中で育っているものを撮っています。
 サラセニア属は北アメリカ東海岸の分布ですが、分布の中心はカナダの針葉樹林帯ですので、上の写真のオオヒモゴケは、おそらくサラセニアの苗を購入した時についてきたものでしょう。

 茎は密に褐色の仮根に覆われています。 茎頂付近からは軸状の短枝が数本(上の写真では3本)出ることがあり、この先には無性芽がつきます(上の写真は無性芽の落ちた後のようで、無性芽のついている状態はこちらに載せています)。

 葉は披針形で、長さは3mmほどです。

 上は葉先付近です。 葉先の多くは写真のように鋭頭です。 中肋は葉先に届いていません。

 上は葉の中央付近です。 葉縁は狭く背方に巻いています。

 上は葉の基部付近です。 翼部は少し大形の細胞からなっています。

 上は葉の断面です。 中肋の断面では、ガイドセルより背方にも腹方にもステライドが確認できます。 葉は1層の細胞からなり、葉縁は狭く背方に巻いています。
 下は上の一部の拡大です。

 葉身細胞には、背面にも腹面にも中央に1個のパピラがあります。 できるだけパピラにピントが合うように撮りましたので、中肋はピンボケ気味になっています。

 上は葉のほぼ中央の、下は葉先から1/4ほどの所の葉身細胞です。

 葉身細胞は非常に厚角で、細胞壁には隙間が生じているようです。

 上は茎の断面です。 中心束はよく分化しています。 茎の表皮からは仮根が生じています。

(2021.5.28. 兵庫県西宮市)

こちらには北八ヶ岳で撮ったオオヒモゴケを載せています。


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