2021-09-06

チャボシノブゴケ

 

 チャボシノブゴケ Pelekium versicolor がたくさんの蒴をつけていました。 平凡社には日陰の岩上とありますが、土の緩斜面でした。

 群落を見ると雰囲気でシノブゴケ科と分かるのですが、とても小さな植物体です。 上はいちばん太そうな茎を選んでいて、茎葉もちゃんとついているのですが、この倍率ではよく分かりません。 2~3回羽状に分枝していますが、スケールの最小目盛は 0.1mmですから、枝の幅は葉を含めて 0.2~0.3mmです。

 顕微鏡で観察すると(上の写真)、茎にはたくさんの毛葉がありますが、大きな枝にはほんの少ししかなく、小さな枝には毛葉は全く見られません。 毛葉はまっすぐで、ほとんど枝分かれしていません。

 上は茎葉です。 茎葉は広い三角形で先端は細く尖り、長さ 0.2~0.3mm、中肋は葉先より下で終わっています

 茎葉の葉身細胞には中央に1個の尖ったパピラがあります(上の写真)。

 上は枝葉です(倍率は茎葉と異なっています)。 茎葉と同様、細胞の中央には1個の尖ったパピラがあります。

 上は蒴です。 蒴は傾き、非相称で、蒴柄は平滑です。 なお、石灰岩地で見られ、蒴柄の上部にパピラがあるイボエチャボシノブゴケとされるコケについては、こちらに載せています。

(2021.7.16. 長野県 白馬村)

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