石灰岩上に育っていた上の写真のシノブゴケの仲間は・・・
シノブゴケの仲間としては小形です。 茎葉は長さは 0.2~0.3mmで、まばらについています。
特に茎が緑色の所についている茎葉はいじけていて、茎から離すのも困難です(上の写真)。 ただし、これはこの種の特徴ではなく、生育環境の影響でしょう。
茎には多くの毛葉があります(上の写真)。 しかし・・・
毛葉は太い枝には少し見られますが、上の写真のような細い枝にはまったくありません。
蒴柄の上部にはパピラがあります(上の写真)。 以上の観察結果から、平凡社の検索表をたどれば、イボエチャボシノブゴケ Thuidium contortulum となります。
平凡社(2001年発行)では、イボエチャボシノブゴケは「新称」となっています。 これは渡辺(1974、日本新産報告)によるものですが、現在ではこの見解を認めないのが主流となっていて、シノブゴケ科の分類学的再検討を行ったTouw(2001)の分類では、チャボシノブゴケとなってしまいます。
また、この分類学的再検討ではチャボシノブゴケなど従来 Thuidium(シノブゴケ属)とされていた小形のもの(他にはミジンコシノブゴケなど)は、Pelekium(チャボシノブゴケ属)になっています。
よって、上の写真のコケは、チャボシノブゴケ Pelekium versicolor としておきます。
(2024.7.21. 京都市西京区大原野)
◎ チャボシノブゴケはこちらにも載せています。
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