2022-04-01

コチョウチンゴケ

 

 若い胞子体と新しく伸びた瑞々しい茎、コチョウチンゴケ Mnium heterophyllum の雌株だと思います(2022.3.28. 箕面公園)。

 新しい茎につく葉の色は古い茎につく葉よりも明るく、胞子体は古い茎の頂についています。 新しい葉の中肋は緑色ですが、古い葉の中肋は赤い色をしていました。 葉は茎の下部で小さく、茎の上部に行くにつれて大きくなります。 茎の基部は密に仮根に覆われています。

 葉は卵状披針形~披針形で、上半に歯があります。 上の写真の葉は5mm前後ありますが、平凡社の図鑑では葉の長さは 3.5mm以下となっています。 茎の上部の大きな葉を選んだこともありますが、葉は環境によって変化するものですし、他の特徴はコチョウチンゴケの特徴に一致しています。

 葉先近くでは舷は明瞭ではなく、中肋は葉先より下で終わっています(上の写真)。

 上半の葉縁には上の写真のような双生の歯と単生の歯が混じっています。 葉先から離れるにつれ、舷は明瞭になります。 葉の上部の葉身細胞の長さは 20~40μmです。

 上は葉の下部の縁です。 歯は無く、舷はほぼ2細胞列で、葉身細胞の長さは 30~45μmです。

 葉身細胞はわずかに厚角で、細胞壁の所々に肥厚も見られます(上の写真)。


 上は葉とその中肋の横断面です。 ステライドは中肋の中央に少しあるだけですが、古い葉ではその細胞壁に赤い色素が多く、目立っていました。

 上は茎の横断面で、中心束がよく発達しています。 下はその中心束の拡大です。

こちらには胞子を飛散させた後の蒴を持ったコチョウチンゴケを載せています。

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