2022-04-05

ヤマトクサリゴケ

 

 上は岩上を薄く覆っていたコケ群落で、カマハコミミゴケ Lejeunea discretaエダウロコゴケモドキ Fauriella tenuis などと混生しているヤマトクサリゴケ Cheilolejeunea nipponica の花被があちこちに見えます。

 ヤマトクサリゴケとカマハコミミゴケは背面から見ると背片の大きさもよく似ていますが、前者の方が濃い緑色をしています。
 以下、ヤマトクサリゴケの観察です。 本種の背片は円形で円頭です。 花被を正面から見ると4~5稜であることが分かります(上の写真の左下や中央)。

 上は腹面から撮っています。 花被は茎に頂生し、花被の下から新しい茎が伸びています。 腹片の長さは、背片の長さの1/2以上です。

 花被の中では胚が大きく育ってきています(上の写真)。 雌苞葉と雌腹苞葉(暗くなっています)は全縁です。


 上の2枚は腹片です。 腹片の歯牙よりキール側の縁は環状に曲がっています。 腹片の歯牙の先端の細胞は短く、長さは幅の1.5~2倍です。 透明細胞は歯牙のキール側(写真では下)に少し見えているのがそれだと思います。 腹片のキールは丸みを帯びています。
 後に書くように背片で見られる油体は各細胞に1個ですが、茎や腹片で見られる油体は各細胞に1~3個ありました。

 腹葉は茎径の2~3倍幅で、約2/5まで2裂しています(上の写真)。


 上の2枚は背片の葉身細胞です。 トリゴンは小さく、油体は大きく各細胞に1個でブドウ房状です。 上は採集した1日後に撮影したものですが・・・

 室温で放置していたところ、2日後には油体が崩れはじめていました。

(2022.4.3. 箕面公園)

◎ ヤマトクサリゴケはこちらにも載せています。


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