2022-05-12

ホソバオキナゴケを食べるコケガの1種?の幼虫

 育てているホソバオキナゴケに丸いものがたくさんついているが、それが何なのか調べてほしいと依頼されました。

 上のようにとてもたくさんの丸いものがついています。 見るからに糞のようですが、これほどのたくさんの糞があるからには、糞をした生物もいるはずだと思って探してみると・・・


 上のような幼虫が潜んでいました。 依頼者が気づかなかったのは、ホソバオキナゴケ群落の中で生活していて表面には出てこないか、夜行性で昼間は活動を止めているのかもしれません。
 この虫はたぶんコケガの1種の幼虫だと思います。 コケガの幼虫には毒針を持っているものも多いので、注意が必要です。

 上は糞をほぐして撮った顕微鏡写真で、ほとんどがホソバオキナゴケの細胞壁でしたが、予想外のうれしい観察ができました。
 ホソバオキナゴケの透明細胞の横壁には円い孔があり、水などの細胞間の移動に関係していると思っているのですが、葉の横断面のプレパラート作成時に細胞の横壁のすぐ近くを切断することは確率的に難しく、なかなかシャープな像を得ることができませんでした。 ところが今回は幼虫が葉を消化して細胞をバラバラにしてくれたおかげで、細胞壁の横壁の孔が、上の写真のようにはっきりと確認できました。

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