2024-07-27

イボエチャボシノブゴケになるが・・・

 石灰岩上に育っていた上の写真のシノブゴケの仲間は・・・

 シノブゴケの仲間としては小形です。 茎葉は長さは 0.2~0.3mmで、まばらについています。

 特に茎が緑色の所についている茎葉はいじけていて、茎から離すのも困難です(上の写真)。 ただし、これはこの種の特徴ではなく、生育環境の影響でしょう。

 茎には多くの毛葉があります(上の写真)。 しかし・・・

 毛葉は太い枝には少し見られますが、上の写真のような細い枝にはまったくありません。

 蒴柄の上部にはパピラがあります(上の写真)。 以上の観察結果から、平凡社の検索表をたどれば、イボエチャボシノブゴケ Thuidium contortulum となります。
 平凡社(2001年発行)では、イボエチャボシノブゴケは「新称」となっています。 これは渡辺(1974、日本新産報告)によるものですが、現在ではこの見解を認めないのが主流となっていて、シノブゴケ科の分類学的再検討を行ったTouw(2001)の分類では、チャボシノブゴケとなってしまいます。
 また、この分類学的再検討ではチャボシノブゴケなど従来 Thuidium(シノブゴケ属)とされていた小形のもの(他にはミジンコシノブゴケなど)は、Pelekium(チャボシノブゴケ属)になっています。

 よって、上の写真のコケは、チャボシノブゴケ Pelekium versicolor としておきます。

(2024.7.21. 京都市西京区大原野)

◎ チャボシノブゴケはこちらにも載せています。

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