2020-07-26

蒴をつけたミジンコシノブゴケ


 石垣の上で育っていた上の写真のコケ、葉のツヤなどからアオギヌゴケ科のように思いましたが、持ち帰って調べることに。


 群落をほぐしてみると、1枚目の写真に写っていた葉は上の写真の中央の葉で、胞子体をつけていたコケはそれとは別で、その葉は上を覆われていてほとんど見えていませんでした。(小さすぎて気づかなかっただけかもしれませんが・・・。)
 コケの観察ではこのようなことがよくありますから、蒴がどこから出ているのか、きちんと確認する必要があります。

 以下、蒴のついているコケを調べました。


 毛葉はほとんど目立ちませんが、茎葉や枝葉の様子から、どうやらシノブゴケ科のようです。 葉はとても小さいのですが、茎は比較的太く(といっても幅は 0.5mm以下ですが・・・)、しっかりしています。



 上の2枚の写真は、1枚目は湿った状態、2枚目は乾いた状態です。 上の写真では蒴柄は16mmほどありますが、葉は小さく、茎葉でも 0.4mmほどです。


 上は茎葉です。 中肋は葉の長さの3/4ほどです。 葉先が少しボケているので、葉先付近をもう少し拡大したのが下です。


 葉先に透明尖はありません。 深度合成していますので、平面的になり、パピラは分かりにくくなっています。


 上は茎葉の葉身細胞で、背の高いパビラがあります。


 上は枝葉です。 各細胞の中央に1個の背の高い枝分かれの無いパピラがあります。


 枝の表面もパピラに覆われています(上の写真)。 茎の表面も同様です。

 以上の観察結果から、このコケはミジンコシノブゴケ Thuidium pygmaeum でしょう。

(2020.7.22. 大阪府 箕面公園)

◎ ミジンコシノブゴケはこちらにも載せています。