2016-03-08

ケヘチマゴケの胞子体

 今日は昨日の続きで、ケヘチマゴケ Pohlia flexuosa の胞子体をとりあげることにします。


 ほんのり色づいた洋梨形の蒴がなかなかビューティフル。 ハリガネゴケ科らしい形態の胞子体です。


 蒴柄は3cm足らずでした。 平凡社の図鑑では蒴柄は3~6cmとなっていますから、少し小型です。 写真の群落の場所はケヘチマゴケにとってあまりいい環境ではないのでしょう。


 上は左が帽のある蒴で、右の蒴は長い帽が取れて蓋が見えています。


 上は蒴の表面の細胞を見るために、蓋のついていた蒴を、縦に半分に切って薄くし、押し潰したものです。 押し潰した時に蓋は取れ、壺(胞子の入っている所)は割れ、蒴歯も離れて右下にほんのわずかに見えているだけですが、蒴柄に続く頸部と壺との境が色の違いとして現れました。
 下は頸部を中心に、上をもう少し拡大したものです。


 ヘチマゴケ属( Pohlia )の蒴の頸部には気孔があります。 上の写真の頸部をよく見ると、ほぼ細胞と同じ大きさと形の黒く縁取られたものがあります。 気孔はこの奥にあります。
 下はこの頸部の一部を拡大したものです。


 上は細胞層の表面にピントを合わせています。 細胞層の表面と気孔のある面とは高さが異なりますので、気孔は見えていません。



 上の2枚の写真のほぼ中央にあるのが気孔です。 気孔にピントを合わせていますので、細胞の輪郭はぼやけてしまっています。

 以下は蒴歯の様子です。


 上は、気泡がたくさん入ってしまいましたが、外蒴歯です。 下はこれと同じ場所で暗くしてピントを少しずらしたものです。


 新しく見えてきたものは内蒴歯に関するものだと思いますが、今のところはよく分かりません。
 下は上の写真の右上の外蒴歯の先端部分を拡大したものです。


 外蒴歯の先はたくさんのパピラに覆われています。 丸いものは胞子です。

(2016.3.5. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

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