2018-06-07

ヒラハイゴケ


  写真はヒラハイゴケ Hypnum erectiusculum でしょう。 沼の縁にありました。 分布は北海道~九州とのことですが、大阪府下では私は見たことがありません。


 1枚目の写真は雨で濡れていますが、表面が濡れていなくても光沢があります。 葉は扁平についていて(これが和名の「ヒラ」の由来のようです)、まるでサナダゴケ科のようです。
 この記事を書いた時、最初はよく似たアオモリサナダゴケと間違ってしまいました。 アオモリサナダゴケもハイゴケ科ですが、サナダゴケ科に似ているために、そのような和名になったのでしょう。
 写真のコケがアオモリサナダゴケではなくヒラハイゴケである決め手になったのは、茎の断面(下の写真)でした。


 上がヒラハイゴケの茎の断面です。 茎の表皮細胞は大型で透明で、外側の壁が薄くなっています。
 平凡社の図鑑のハイゴケ科ハイゴケ属( Hypnum )の検索表は茎の表皮細胞の様子から始まります。 そして約20種あるハイゴケ属のうちでこのような茎の表皮を持つのは6種ほどに限られます。
 ちなみに、雰囲気のよく似たアオモリサナダゴケはキャラハゴケ属( Taxiphyllum )で、この属の茎の表皮細胞は小さく、厚壁です(こちら)。 また、アオモリサナダゴケは本種よりもっと基物に圧着するように着生するようです。


 上は腹面から撮っています。 1枚の葉はとても薄く、その葉が密に重なりあっていて、重なっている所では葉の輪郭も分かりません。 葉先は乾いてくると鎌形に曲がります。 葉先は漸尖しています。


 上は枝葉です。 中肋は短く2叉していますが、はっきりしない葉もありました。


 葉身細胞は線形です(上の写真)。


 翼部の細胞は方形~矩形で、葉縁で4~10個が縦に並んでいます。

(2018.6.1. 青森県 蔦沼めぐり自然研究路)

◎ ヒラハイゴケはこちらにも載せています。 また、こちらではヒラハイゴケの蒴の様子なども観察しています。


0 件のコメント:

コメントを投稿