2019-12-07

ハイヒバゴケ


 滋賀県の川の中流域の花崗岩上を這っていたハイヒバゴケ Hypnum cupressiforme です。 幾重にも重なり、密な群落を作っていました。 世界的に広い分布を持っていますが、変異が大きく、多くの亜種が記録されています。
 平凡社の図鑑によれば、本州では主として日本海側に分布するとのことですが、たしかに滋賀県は日本海要素が入り込んでいる所です。


 不規則に羽状に分枝しています。



 茎葉の葉長は 1.5~2mm、枝葉はそれよりやや小形です。


 上は、ゴミが多いですが、茎葉です。 葉身部はやや急に細くなり、鋭頭です。 中肋は不明瞭、葉縁は下部で反曲し、その部分が色濃く、または二重に見えています。


 上は茎葉の翼部で、濃い緑色の明瞭な区画をつくっています。 方形の細胞が縁に沿って並んでいますが、平凡社の図鑑ではその数は6~15個となっています。 上にも書きましたが、葉縁の反曲しているところは二重に見えています。


 葉身細胞は線形で、長さは 50~70μmです(上の写真)。


 上は枝葉です。


 上は枝葉の葉先付近ですが、葉縁には目立たない歯があります。


 上は枝葉の基部です。 不明瞭な二叉した短い中肋があります。 翼部の様子などは基本的には茎葉と同じです。


 上は茎の横断面です。 日本産の Hypnum(ハイゴケ属)は 20種類ほどが知られていますが、種類が多いうえに変異が大きく、分類がむずかしいグループとされています。 平凡社の図鑑の、その分類が難しいハイゴケ属の検索表は、茎の横断面の表皮細胞の様子から始まります。 本種の表皮細胞は分化しておらず、厚い外側の壁を持っています。

(2019.11.21. 滋賀県高島市)

◎ ハイヒバゴケはこちらこちらにも載せています。

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