2020-03-16

ヤクシマホウオウゴケ



 写真はヤクシマホウオウゴケ Fissidens polypodioides です。 少し離れて見ると、葉先は丸く見えます。 森の中を通る登山道脇の土上に育っていました。 屋久島で撮りましたが、分布は本州以南です。
 じつはこのコケ、蒴も雄植物もみつかっていません。 分布は広いのに、どのように仲間を増やしているのか、不思議です。
 名前の似た間違い易い種にヤクホウオウゴケ Fissidens obscurus がありますが、こちらは常に水が流れている岩上や土上に見られます。


 比較的大きなホウオウゴケです。 葉の長さは上の写真では4mmほどで、平凡社の図鑑では 3.5~5.3mmとなっています。 上の写真の左で色が変化している所から右側が1年間で伸びた部分ですが、数年分の生長部分を加えると、茎の長さはかなり長くなります。 そのように長くなっても、枝分かれは見られません。


 葉が茎にどのようについているのかを確認するため、2枚の葉を取り除いて観察しました(上の写真)。 背翼が茎に沿って延びている様子はありません。


 上は葉先付近です。 上で葉先は丸く見えると書きましたが、このように拡大すると微凸頭です。 中肋は葉先から数細胞下で終わっています。 舷は見られず、葉縁の細胞に特別な分化は見られません。


 上は背翼の一部です。 背翼の葉身細胞は丸みを帯びた方形~六角形で、細胞壁は厚壁で明瞭です。

(2020.3.3. 屋久島)

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