2020-03-18
フウチョウゴケ
上の写真の手前にあるコケがフウチョウゴケ Macrothamnium macrocarpum です。 東南アジアの温帯域に広く分布するようですが、日本で正確に同定されているのは屋久島のみで、環境省第4次レッドリスト(2012)では絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。
貴重な植物の場合、場所の特定につながる上のような写真は掲載を控えているのですが、本種の場合は詳しい生育場所も公開されていますので、載せることにしました。
葉は密に重なり合ってついています。 水が流れる岩上で、葉が濡れた状態でしたが、濡れていると葉の様子がよく分かりません。 屋久島では数ヶ所で発見されていますが、いずれも流れの近くということです。
所々枝先が鞭枝状に伸びています。
茎葉はほぼ円形~広卵形で、枝葉は小形で幅が細くなりますが、連続的に移行しているようです。 上の写真でいちばん大きな葉の長さは 1.5mmほどです。
上の2枚は茎葉ですが、1枚目の左の気泡の所には裂け目が入り、右の気泡の右側は少し欠けています。 また2枚目の右側では2カ所が裂け、左側も裂けた所が重なって色濃くなっています。 他のほとんどの葉でも、似た場所で同じような裂け方をしたり欠けたりしていました。 この葉の裂け方は、このコケの特徴の1つと言っていいのではないでしょうか。
中肋は2叉しています。 葉縁の小さな鋭歯は、特に葉の上部に多いようです。
ところで、平凡社の図鑑には本種の特徴の一つとして、葉身細胞の背面上端に小突起がある旨の記載があります。 葉の背腹を意識せずにプレパラートを作っていて、顕微鏡下では背腹の判断は難しいのですが、上の2枚目の写真の赤い四角の部分を拡大すると・・・
たしかに葉身細胞の上端に小突起があります。
上は葉身細胞です。
(2020.3.4. 屋久島)
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