2020-05-09

オオサナダゴケモドキ


 朽木上にやや光沢のあるマットをつくっていた写真のコケは、オオサナダゴケモドキ Plagiothecium euryphyllum のようです。
 上の写真には3本の胞子体が写っています。 そのうちの2つの蒴は虫に食われ蜘蛛の糸に絡まれて無残な姿ですが、帽は僧帽形のようです。 残るまともな蒴は円筒形で、ほとんど曲がっていません。


 上は1本の枝です。 平凡社の図鑑では、「枝は長さ1~2cm,葉を含めて幅2.5~4mm。」とあり、範囲内です。 葉は弱く扁平についています。 上は乾いた状態ですが、ほとんど縮れていません。


 上は茎の断面で、右上は葉に続いています。 中心束があるようにも見えますが、細胞が中央に向かって次第に小さくなっているだけだと理解しました。 表皮細胞が大きく、外側の壁が薄くなっています。 これが Plagiothecium(サナダゴケ属)の特徴の1つです。


 葉は多少非対称で、中肋は2叉し、葉の中部以下で終わっています(上の写真)。 基部の茎に下延している部分の幅は狭く、この部分の細胞は他の細胞から明瞭に区別されます。


 上は茎への下延部の拡大です。 下延部の細胞は透明で薄壁で、矩形の細胞が連なり、その下端の細胞は細長い三角形なのですが、下延部が途中で切れてしまっていて、上の写真には三角形の細胞は写っていません。


 葉先は広く尖っています(上の写真)。


 葉身細胞は線形です(上の写真)。 上の写真の範囲では細胞の長さは 70~120μmほどです。 平凡社の図鑑では 80~140μmとなっていますので、ほぼ一致します。

◎ オオサナダゴケモドキはこちらこちらにも載せています。


0 件のコメント:

コメントを投稿