2023-08-09

オオサナダゴケモドキ

 

 上はコムチゴケと混生しているオオサナダゴケモドキ Plagiothecium euryphyllum です。


 茎は這い、不規則に分枝しています。 葉は弱く扁平についています。

 平凡社の図鑑では、葉を含めた枝の幅は 2.5~4mm、葉の長さは 1.3~2.4mmとなっていて、上の写真ともよく一致します。

 葉は多少非相称で、葉先は広く尖っています。 中肋は二叉し、葉の中部以下で終っています。
 葉の基部は狭く茎に下延しています。 上の写真の赤い矢印がその部分で、下はその拡大です。

 平凡社には、「下延部の細胞は矩形,透明,薄壁で,基部の他の細胞から明瞭に区別される。下端の細胞は三角形。」と書かれています。 しかしこの下延部をうまく取り出せるかが関門で、多くの場合、途中で切れてしまいます。 上は取り出せたものの、柔らかい部分が重なってしまい、三角形の細胞もとても分かりにくくなっています。
 ②は薄壁でもなく、下延部ではありません。 茎と葉の境には、細胞の角度が異なるためでしょうか、①のような色の濃い帯状の部分が生じます。 下延部は葉の細胞が続いているため、そのような色の濃い部分が生じません。 ②の基部には色の濃い部分が見られます。 つまり②は茎の細胞がくっついてきているのでしょう。

 上は下延部の細胞が矩形,透明,薄壁であることはよく分かるのですが、途中で切れてしまっていて、下端の三角形の細胞がありません。

 上は葉の中央の葉身細胞で、長さ80~140μm、幅5~7μmです。

(2023.7.16. 京都市北区雲ケ畑)

こちらには本種の茎の断面や蒴の様子などを載せています。 またこちらには本種のみの群落の写真などを載せています。

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