キダチヒラゴケの上を覆う糸状のコケ、コミミゴケ
Lejeunea compacta でしょう。 笹かまぼこのような形をしたものがたくさんついています。 そのうちの1つだけを赤い矢印で示しましたが、他も同じで、雄花序だろうと思います。 本種は雌雄異株で、この中に造精器ができるのだと思いますが、まだ若いようで、解剖してみたのですが、造精器は見つけられませんでした。
葉は重なって茎にくっついていて、葉を含めた茎の幅は 0.3mmほどです。
上は顕微鏡でほぼ腹面から撮っていますので、腹葉の形は分かりますが、葉(側葉)の形はよく分かりません。 しかし、葉と腹葉の大きさはほぼ同じであることや、葉は湿ってもほとんど開いていないことは分かります。
上は腹葉(左)と葉(右)を同じ拡大率で並べたものです。腹葉は長さと幅がほぼ同長で、上の写真では1/3ほどV字形に切れ込んでいますが、もう少し深く1/2ほどまで切れ込むことがあります。 基部は耳状になっています。
葉の背片は、ほぼ三角形です。 腹片(赤い四角の下方)は背片の1/3ほどの長さです。 下は赤い四角に相当する部分の別の葉の拡大です。
腹片の第1歯(歯牙)は、上の写真では他の細胞と重なってしまっていますが、単細胞で、キール側の縁が環状に曲がっています。
上は葉身細胞です。 トリゴンは大きく、油体は楕円体で微粒の集合です。
(2020.6.24. 奈良県宇陀市)
◎ コミミゴケは
こちらにも載せています。