2015-12-11
フタバネゼニゴケ
葉状体や杯状体(杯状の無性芽器)の縁が赤く染まったフタバネゼニゴケ( Marchantia paleacea ssp. diptera )がありました。 杯状体があるのはゼニゴケ属の特徴です。
上はフタバネゼニゴケの背面( いわゆる「表」)です。 たくさんのタコの吸盤のような気室孔が並んでいます。
上は杯状体を横から見たところです。 上の写真は杯状体の手前にピントを合わせていますが、側面に注目すると、細かい突起が見られます。 この杯状体を形成している壁の断面を顕微鏡で見たのが下です。
上は左が杯状体の内面で右が杯状体の外面です。 フタバネゼニゴケの杯状体の外面には上の写真のように乳頭が見られます。
杯状体(無性芽器)の底には無性芽が残っていました。
上は無性芽を1つ取り出して顕微鏡下で撮影したものです。
上は葉状体を腹面( いわゆる「裏」)から見たものです。 腹面は紅紫色に染まっていますが、フタバネゼニゴケはこのような色になることがよくあるようです。
葉状体の中央部からは仮根が束のようになって出ています。 また、中央部からは左右に2列ずつ、計4列の腹鱗片が並んでいて、葉状体の半分ほどを覆っているのですが、葉状体が腹鱗片と似た色に染まっていて、腹鱗片の縁がとても分かりづらくなっています。 分かり易いように腹鱗片を持ち上げようと試みたのですが薄すぎて無理でした。
※ 上の写真のフタバネゼニゴケの腹鱗片の配列を理解するのには、腹鱗片の形は違いますが、こちらのジンガサゴケの腹鱗片の様子が参考になると思います。
上の写真の腹鱗片の上には小さな丸い葉のような付属物がついています。 これを顕微鏡で観察したのが下です。
上の写真は中央が腹鱗片の付属物で、左に伸びているのは腹鱗片の一部です。 フタバネゼニゴケの腹鱗片の付属物はほぼ全縁です。
(2015.12.9. 京都市 西芳寺川)
◎ フタバネゼニゴケの和名は、受精できなかった雌器床は裂片の2枚だけが大きくなるという特徴からで、その様子はこちらやこちらに、立派に(?)胞子体をつけた雌器床を持つフタバネゼニゴケはこちらに載せています。 また、造精器のある雄器床についてはこちらに載せています。