2021-08-16

エーデルワイス、ミヤマウスユキソウ、ハッポウウスユキソウ

エーデルワイス Leontopodium alpinum 

 上はサウンド・オブ・ミュージックの挿入歌などでもよく知られているエーデルワイス(和名はセイヨウウスユキソウ)です。 昨年の8月に咲くやこの花館で撮りました。 淡い雪を被ったような白い外観が特徴ですが、上の写真は花が終わりかけで少し傷んで黄色味を帯びています。
 白い色は純潔の象徴で、エーデルワイスの名も、ドイツ語の edel(高貴な)と weiß(白)に由来しています。 しかしこの白い色は花の色ではありません。

 本種はキク科で、小さな花が集まっているのが特徴です。 上の写真で球形の膨らみがその花の集まりで、花の集まり(頭状花序)の集まりとその近くの葉が少し変化した苞葉を白い綿毛が覆っています。 この白い綿毛は高山の強い紫外線を反射したり乾燥や寒さを防ぐためでしょう。
 目立っているのは白い苞葉です。 ちなみに属名の Leontopodium は、ギリシア語の leon(ライオン)と podion(pous:足の小さい人)の合成語で、この広がる苞葉を小さなライオンの足に見立てたようです。 ということは花の集まりの集まりは肉球かな!?

 上の写真では、花が終わって種子ができています。 タンポポなどと同じように、種子にはガクが変化した冠毛があり、これによって種子は風に乗って飛散することができます。 注目したいのは赤い四角で囲った所で、下はその拡大です。

 キク科にはとてもたくさんの種があります。 そのなかで、Leontopodium(ウスユキソウ属)の大きな特徴の1つが、冠毛の基部が環状に互いにくっついていることです。 上の写真の赤い円の所で、それがよく分かります。

 Leontopodium(ウスユキソウ属)は日本にも5種と2変種が分布しています。 下は今年の7月に見た Leontopodium です。

ミヤマウスユキソウ Leontopodium fauriei

 上は 2021.7.8.に秋田駒ケ岳で撮影したミヤマウスユキソウです。 この属の多くの種の花期は7~8月ですが、本種は他のウスユキソウ類よりやや花期が早く、7月中には花が終わってしまうことが多いようです。 東北地方の日本海寄りの高山に分布します。
 上の写真では根出葉が他の植物の葉の陰になって見えませんが、根出葉の多い種で、花をつけない場合はほとんど茎を伸ばしません。

ハッポウウスユキソウ Leontopodium japonicum f. happoense

 上は 2021.7.16.に八方尾根で撮影したハッポウウスユキソウです。 しかしこの和名は、調べても出てこない植物図鑑が多いでしょう。 その理由は・・・
 本州~九州の山地~亜高山の草原や乾いた岩礫地に分布するウスユキソウ Leontopodium japonicum という種があり、その変種で、全体が小型で茎が叢生することで高山に適応したミネウスユキソウ L. japonicum var. shiroumense が関東北部や中部地方の高山の岩場や礫地に分布します。 ハッポウウスユキソウはそのミネウスユキソウのうちで、葉の幅が細く斜め上を向く八方尾根固有の品種です。
 茎は花をつける/つけないに関わらず長く伸び、花時には根出葉はありません。

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