2021-08-15

キツネゴケ(雄株)

 

 上はキツネゴケ Rigodiadelphus  robustus だと思います。

 育っていたのは秋田駒ケ岳の標高1,420mほどの樹幹(上の写真)です。 本種は高地の樹上に生え、北海道~九州に分布します。

 茎は不規則に分枝しています。 上の写真のあちこちにある褐色の粒状のものは雄包膜で、これについては後に書きます。

 葉の長さは2mmほどです。 上は湿らせて撮っていますが、乾くと葉は縮れずに枝や茎に接します。

 葉は弱い縦じわがあり、先端は毛状に細く尖っています。 葉の中部~下部の縁は狭く反曲しています。 上の写真の赤い円で囲った部分は、途中で切れていますが、狭く長く茎に下延しています。

 上は葉の基部が茎に下延している様子です。

 上は葉の上部で、先端は透明尖になっています。 中肋は葉先に届いていません。

 上は葉の基部です。 翼部の細胞は短く方形、葉身細胞は狭六角形~線形です。

 上は翼部の拡大です。 翼部の細胞は厚壁です。

 上は葉のほぼ中央の葉身細胞です。上に中肋が少し写っています。 細胞壁には所々にくびれが見られます(赤い円で囲った所など)。

 平凡社の図鑑などには、茎には小さな狭三角形の毛葉があると書かれています。 あちこち探してみましたが、なかなかみつかりません。 上の写真(左)、判り難い写真ですので右にアウトラインを加筆したものを並べましたが、当初はこれが毛葉かとも思いましたが、これも下と同様、やはり偽毛葉のようです。

 葉を取り去って毛葉を探していると、上のような偽毛葉らしいものが見つかりました。 もし毛葉が無く偽毛葉があることになれば別種? とも思いましたが、どうやら調べたのは茎ではなく、枝だったようです(こちら)。

 本種は雌雄異株です。 長く伸びた枝にはあちこちに雄包膜に守られた造精器群ができていました。 上の写真の褐色の膨れた部分がそれです。 これを取り出して中を見たのが下です。

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