2022-05-25

アズマゼニゴケの蒴の開裂と弾糸のつくり

 オカモス関西(岡山コケの会関西支部)では「コケサロン」という集まりをZoomで実施しています。 私も参加者の一人ですが、昨日(2022.5.24.)の会で、N氏がさまざまな苔類の蒴が開裂する様子を動画で紹介されました。 苔類の蒴の裂け方もいろいろだと改めて思った次第ですが、そのうちのアズマゼニゴケ Wiesnerella denudata の蒴の開裂については、すでにこちらに載せているところですが、私も疑問に感じていたことでしたので、改めて取り上げることにします。

 上の写真で、黄色い矢印の蒴が胞子散布を始めています。 平凡社の図鑑では、「(アズマゼニゴケの)蒴は4つに裂ける。」とあります。 しかし、上の写真で4つに裂けはじめていると言えるでしょうか。
 上記の動画を見て、本種の蒴は蒴の先端から裂けるというよりは、「蒴壁は先端から溶けてなくなる」という表現がよくあてはまると思いました。
 下は上よりもう少し進んだ状態です。

 上の開いている蒴は、蒴壁が半分ほど無くなっています。 やはり「裂けている」とは言い難いでしょう。

 上は飛散した胞子と弾糸です。 写真中央下は分枝した異常な弾糸で、下はその拡大です。

 多くの苔類の弾糸には螺旋状の肥厚が見られます。 この螺旋がどうなっているのか、上の写真で色分けして見ると、赤、黄、緑の3本の螺旋があります。 しかし本種の正常な弾糸をいくつか調べたところでは、全て2重螺旋でした。
 保育社の「原色日本蘚苔類図鑑」(「アズマゴケ」となっています)では、「(本種の)弾糸は3らせん。」と記載されています。 まさか上のような異常な弾糸に注目したわけではないでしょうが、条件によっては3重螺旋になるのかもしれません。 私も何かの種で3重螺旋の弾糸を見たように思うのですが、その種が何だったのか、思い出せません・・・。

 上は観察に用いた本種の生育していた様子で、オオジャゴケと並んでいました。 なお、上の写真は 2022年4月28日に箕面公園で撮影したものです。

◎ 本種の10月の造卵器・造精器の様子はこちらに、年を越した4月の様子をこちらに載せています。 また、配偶体の様子はこちらに載せています。

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