2015-10-20
アズマゼニゴケ@10月
写真はアズマゼニゴケ(アズマゴケ:Wiesnerella denudata )です。 和名からは東国に多いイメージですが、むしろ西日本に多いようです。
上は葉状体の裏側です。 腹鱗片はほとんど透明に近い色をしています。(こちらでは葉状体から取り外した腹鱗片を顕微鏡で観察しています。)
ところで、1枚目の写真の葉状体は、丸い雌器托と雄器托を並べてつけています。 黄色っぽいのは精子を出し終わり、役割を終えた雄器托です。 雌器托は受精卵から胞子体を形成し、雌器托柄を伸ばして胞子を散布するという大仕事を控えており、緑色で元気なようです。
下はこの雌器托と雄器托の断面です。
上の写真は左が雌器托で、右が雄器托です。 雄器托は上に書いたように精子を放出した後のようで、造精器のつくりも確認できず、スカスカの印象です。
雌器托の縁の巻き込んだ部分の、少しゴチャゴチャしたように見える所(黄色の長方形で囲った中央付近)に造卵器があります。 この長方形で囲った部分を顕微鏡で撮ったのが下の写真です。
上の写真の中央のフラスコを逆さにしたようなものが造卵器ですが、卵細胞は既に受精して細胞分裂を繰り返し、若い胞子体になっているようです(細かい細胞がぎっしり詰まっています)。
(以上、2015.10.14. 高槻市 川久保渓谷)
下は、2017.5.10.に高槻市出灰で撮影した、よく伸びた雌器托をつけたアズマゼニゴケです。
まだ裂けていない胞子体も見えています。 この胞子体が裂けて胞子を散布している様子はこちらに載せています。
下は胞子です。
◎ こちらには、上のほぼ1ヶ月前にあたる時期の、柄がまだ伸びていない雌器托やその内部の様子などを載せています。