写真はキジノオゴケ Cyathophorum adiantum です。 一次茎は岩上を走り、写真はそこから立ち上がった二次系です。 二次茎の基部は仮根が密に絡まりあっていました。 二次茎の枝分かれはほとんどありません。
上の写真で、二次茎の先が細く褐色になっています。 この部分は無性芽をたくさん作る部分で、その役割を終えて枯れてきているのだと思います。
本種の葉は左右に広がる側葉と腹面にある腹葉とからなります。 上の2枚の写真は腹面から撮っています。
上は側葉です。 長さは約4mmですが、平凡社では5~6mmとなっていて、少し小さいようですが、株全体が少し小さめです。
短い中肋があるのですが、上の写真では光って分かりにくくなっています。 葉縁には刺状の長い歯があります。
下は上と同じ葉ですが・・・
葉は乾くと上のようにねじれます。
上は葉縁の刺状の歯です。
葉身細胞は細長い六角形で、長さは 80~110μmです(上の写真)。 細胞壁の所々が黒ずんでいますが、その部分を拡大すると・・・
接する細胞の細胞壁が同じ所で薄くなり、細胞壁と細胞壁との間に隙間ができています。 たぶん細胞間の物質交換に役立っているのだと思います。
上は腹葉です。 中肋はありません。
上は無性芽です。 ここで見た群落では、主に無性芽を作る茎の上部が既に枯れかけているようだと書きましたが、それに続く葉をめくると、まだたくさんの無性芽がついていました。
(2023.1.16. 奄美大島)
◎ 造精器をつけた本種の雄株をこちらに載せています。