写真はヒロハヒノキゴケ Pyrrhobryum spiniforme var. badakense だと思います。 湿岩上に大きな群落をつくっていました。 私の頭の中では本種は杉の根元にあるものでしたので、シッポゴケ科を検討したりして、同定には時間がかかりました。
上向きの葉を含めた茎の長さは5cmに達します。 ヒノキゴケより硬いように感じました。
上の写真の上は湿った状態、下は乾いた状態で、乾くと写真のように縮れます。 葉は茎の下部では小さくまばらで、中上部では長い葉が密についています。
上の写真のように、茎の下部には褐色の仮根が密生していますが、茎の中上部や若い茎には仮根はほとんど見られません。
葉の長さは、上の写真では約1cmです。 中上部の葉縁には鋭い歯が並んでいます。
葉縁の歯は対になっています(上の写真)。
上は葉の中央部の背面です。 中肋背面にも歯がありますが、この歯は下部ではほぼ対になり、上部では単生しています。
上は葉のほぼ中央の葉身細胞です。
上は葉の基部です。 丸みを帯びた葉身細胞は基部に向かうにつれて次第に方形~矩形になりますが、翼部の分化は明瞭ではありません。
上は葉先です。 中肋は葉先近くにまで達しています。
上の写真は、上は葉の中央部の、下は葉の基部の横断面です。 ステライドはガイドセルの背面にも腹面にも見られます。 葉身細胞は平滑で、葉の縁は2細胞層になっています。
上は葉の中央部の中肋の横断面です。
※ こちらにはヒノキゴケの葉の横断面を載せていますが、ほとんど同じです。
上は茎の断面です。 中心束がよく発達しています。
(2023.5.13. 愛知県設楽町 標高1200m付近)
◎ こちらには蒴をつけたヒロハヒノキゴケを載せています。
0 件のコメント:
コメントを投稿