2017-09-11

ヒノキゴケの葉の断面


 上は雨あがりのヒノキゴケ Pyrrhobryum dozyanum で、葉をおもいっきり伸ばしています。
 ヒノキゴケは前にも載せていますので(こちら)、今回は葉を中心に観察してみました。


 上は葉を背面から撮った顕微鏡写真です。 葉の基部を除き、葉縁には対になった歯があり、中肋の背面にも歯が並びます。 葉縁の歯と中肋の歯の両方にピントを合わせることは難しく、上の写真は中肋の歯にピントを合わせていますが、葉縁の対になった歯もわかります。
 コケの葉の細胞は1層であることが多いのですが、葉縁の対になった歯がどのように生じているのか、葉の断面を作ってみることにしました。


 上が葉の断面です。 残念ながら歯がある所での断面は作れませんでした。 中肋の部分は、表面に葉緑体を持った表皮細胞が並び、その内側のガイドセルやステライドには葉緑体は見られません。


 上は葉の断面の葉縁付近の拡大です。 葉縁のみ2細胞層になっています。 この細胞が歯になれば歯は対になります。


 中肋付近の断面も倍率を上げて観察してみました。 中肋の中央には水分の通路になると考えられているガイドセルがあり、その上下には強度を保つ働きをしていると思われるステライドがあります。 ステライドを構成している細胞は極端な厚壁で、通常の撮影では細胞の境が不明瞭でしたので、上の写真は偏光で撮影しています。

(2017.9.6. 岩湧山)

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