2019-08-09
チャボスズゴケ
樹幹に張り付いた黒っぽいコケ(上の写真)、葉が密着した短い枝が規則的に出ていて、長く伸びた枝から葉が左右に出ているように見えます。
上は乾いた状態、下は濡れた状態です。 スケールの数字の単位はmmで、上下の写真の倍率は同じです。
枝葉と茎葉の長さには、かなりの差があるようです。
上の写真の左は茎葉で、右が枝葉です(左下が欠けています)。 茎葉は広卵形の下部から急に細くなっています。 できるだけゴミの少ない葉をと思い、若い葉を取りましたが、古い茎葉では、鋭尖部がもっと長く伸びた葉もありました。 中肋は鋭尖部に終わっています。
上の赤い四角で囲った所に何かついているように見えますが、これを拡大したのが下です。
拡大すると、毛葉でした。 後に書くように、毛葉は茎にたくさん見られ、この毛葉も葉を剥がす時に茎にあったものがついてきたのだと思っていたのですが、上のように拡大すると、毛葉は葉の下部からも出ているようです。
葉身細胞は厚壁で、1~数個のパピラが見られます(上の2枚の写真)。
上は茎についている毛葉です。 透過光で陰になる所を撮ることになり、無理に明るくしていますので、色は変になっています。
枝葉と茎葉の葉の形、毛葉の存在や葉身細胞の様子などから、シノブゴケ科に分類されるコケでしょう。 平凡社図鑑のカラー図版とは印象が違いますが、チャボスズゴケ Boulaya mittenii のように思います。 なお、スズゴケはスズゴケ科ですので、分類的にはかなり離れていて、ルーペや顕微鏡レベルでは、違いははっきりしています。
(2019.5.26. 京都府 芦生研究林)
◎ チャボスズゴケはこちらやこちらにも載せています。
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