2023-03-29

胞子体をつけたヤマトフデゴケ

 ヤマトフデゴケ(ヤマトツリバリゴケ) Campylopus sinensis が胞子体をつけていました。 平凡社では「(本種の)胞子体は未知。」となっていて、慎重に調べたのですが、古木・木口の『自然散策が楽しくなる! コケ図鑑』にも本種の胞子体の写真が載っています。
 胞子体をつけた株は群落内に散見され、それらの1本の茎には1~3本の胞子体がついていました。

 上の写真の茎の長さは6cmあります。 平凡社の図鑑にも本種の茎の長さは2~6cmとありますが、もっと短いものをよく見ます。 やはり十分生長した場合でないと蒴をつけないのでしょう。

 茎には密に仮根がついています(上の写真)。

 上は葉のほぼ中央を腹側から見ています。 葉は湿ると縁が持ち上がり、丸くなってきます。 本種の中肋は幅広く、上の写真では大部分が中肋で、葉身細胞は縁に近い所の2~4細胞列しかありません。

 上は葉先です。 平凡社では「(葉の)先端は長い透明な芒となり,(以下略)」と書かれていて、多くの場合はそのようになっているのですが(例えばこちら)、上のように透明な芒にはなっていない場合もあります。 生育環境や時期的なものが関係していると思いますが、私の観察した結果では、乾燥気味の所の方がで透明な芒が発達するように思います。

 上は葉の横断面です。 3断面は同じ葉のもので、上から、葉先から1/4の所、葉の中央、葉先から3/4の所の横断面です。
 平凡社の図鑑には、「中部以下の中肋の横断面で,中央部の大形のガイドセルをはさんで腹側に1列の大形で透明な細胞があり,背側にはステライドが発達する。」と書かれています。 
なお、フデゴケの中肋の横断面については「中央の1列のガイドセルをはさんで背腹両側にステライドが発達し,背側には細胞の突出による明瞭な凹凸がある。」と書かれています。

 上は乾いた状態の本種の胞子体です。 本種の蒴柄は、湿った状態では最初の写真のように強く屈曲しているのですが、乾くと上のようにまっすぐに近くなります。 上の写真の蒴柄の長さは、上のような波打った状態でも 12mmあり、まっすぐにすれば、もっと長くなります。
 なお、フデゴケの蒴柄に関しては、平凡社では「蒴柄は短く5~6mm」と書かれています。

 帽は僧帽形で下端に毛があり、蓋には長い嘴がありますが、この蓋は壺の長さよりは短いものです。

 蒴歯の内面は密にパビラで覆われています(上の写真)。 これは本種の属する Campylopus(ツリバリゴケ属)の特徴で、よく似た Bryohumbertia(ツリバリゴケモドキ属)の蒴歯の内面は平滑です。

(2023.3.9. 屋久島)

◎ ヤマトフデゴケ(ヤマトツリバリゴケ)はこちらこちらにも載せています。

 

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