秋田県の標高約 470m、草刈りされた広い草原の一角で、ウマスギゴケに囲まれて葉の細いコケの群落がありました(上の写真:撮影は 2022.5.31.)。 分離された枝先もありますし、ヤマトフデゴケかと思いましたが、場所が場所ですので、大阪では見ることのできないようなコケかもしれないと、少し持ち帰って調べることにしました。
以下の観察結果は、やはりヤマトフデゴケ Campylopus japonicus のようでしたが、このブログには過去1回しか登場していませんので(こちら)、載せることにしました。
上は乾きかけていますが、葉の縮れは見られません。 葉はやや広い基部から針状に伸びています。
緑色をした葉のすぐ下あたりには、たくさんの仮根が見られるのですが、茎の下部の仮根は失われてしまったり古い葉に隠されたりで、ほとんど目立ちません。
上は切れた枝先です。 無性生殖に使われるのでしょう。
葉の下部では中肋は葉の幅の約 1/2を占めています(上の写真)。 翼部の細胞は分化し、大きく薄壁です。
上は葉の基部から 1/3ほどの所です。ここから上では中肋が葉の幅のほとんどを占めます。
葉先近くの葉縁には歯があります(上の写真)。 葉先はしばしば透明な芒となります。
上は基部から 1/7ほどの所の中肋(左)~葉縁(右)の様子です。 葉縁の細胞は細長くなっていますが、舷とは言えません。 縁寄りの細胞は矩形~菱形です。
平凡社の図鑑には「(この仲間の)分類には中肋の横断切片をつくり,ステライドの有無や位置などを調べる。」とあります。
上は基部から 1/7ほどの所の葉の横断面で、ステライドは中肋の背面のみにあります。
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