写真はシッポゴケ科のヤマトフデゴケ Campylopus japonicus でしょう。 茎の先が離れて盛んに“分身”を作っていました。
上は左が湿っている状態で、右が乾いている状態です。 ヤマトフデゴケの葉の先端は透明な芒になることが多いのですが、上の写真には見当たりません。 時期的な要素か生育環境が関係していたのでしょうね。
葉の長さは4~7mmです。
茎の下部は仮根に覆われています。 仮根は緑色をした葉の所にもあります。
上は緑色をした下の方の葉の一部を顕微鏡観察したものですが、仮根は葉からも出ています。
上は「離れた茎」の先の葉の基部を撮ったものです。 上の写真では中肋が鞘部の幅の2/3ほどを占めていますが、これは中肋にピントが合っていないことからもわかるように、葉が丸まっている影響があるでしょう。
下は、同じ葉のもう少しだけ拡大した写真3枚を深度合成して中肋の細胞にもピントが来るようにしたものです。
翼細胞は大きく、葉縁の細胞は細くて薄壁です。
「離れていない茎」の葉の、上は中ほどの、下は基部の翼部を含んだ横断面です。 上の写真では中肋のみになっています。 下の写真では中肋は葉の幅の1/3を占めていて、中央部の大型のガイドセルをはさんで腹側には1列の大型で透明な細胞があり、背側にはステライドが発達しています。
(2017.3.8. 滋賀県野洲市妙光寺山山麓)
◎ ヤマトフデゴケはこちらにも載せています。