2024-06-01

タマゴケ配偶体の観察

 上の写真のコケ、タマゴケかとも思いましたが、ルーペで見ても自信がありません。 タマゴケは胞子体がついていれば確実ですし、胞子体が無くても、黄緑色の半球形の群落を作っていて、他のコケとは区別できます。 しかし上の写真のようにまばらに生えている様子はタマゴケらしくありません。 持って帰って調べることにしました。

 茎は枝分かれしています。 タマゴケはこんなに枝分かれしないと思っていたのですが・・・。 葉の長さは4~9mmです。

 葉の基部はやや広い卵形です(上の写真)。 上の写真の右から線状針形に長く伸びます。 基部付近の細胞は長い矩形です。

 上は葉先から2/3ほどの所を背面から撮っています。 葉身部は基本的には1細胞層ですが、所々2細胞層になっているようで、上の写真ではその部分の色が濃くなっています。 葉縁も2細胞層です。

 上は葉の背面から縁にフォーカスしています。 歯は対になっています。

 上は葉の横断面の一部で、縁が2細胞層になっているのが分かります。 この縁の2細胞が歯になれば双歯になります。
 葉身細胞は背腹両面にパピラがあります。

 葉身細胞は丸みを帯びた矩形で、長さは8~13μmです。 上の写真で各細胞の中央付近に見える円いものはパピラです。

 上は葉の横断面です。 中肋のステライドは背面側だけにあります。

 上は葉先です。

 上は茎を覆っていた仮根です。 太い仮根にも細い仮根にも多くのパピラがあります。

 上は茎の横断面で、中心束があります。

 以上の観察結果を、栽培しているものと比較したところ、タマゴケに間違いなさそうです。

(2024.5.22. 京都府南丹市 美山)

◎ タマゴケの配偶体については、こちらこちらでも観察しています。 また胞子体についてはこちらに載せています。


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