上の写真のコケ、蒴は混生している別のコケ(たぶんアオギヌゴケ科)のものですが、調べても分からず、SNSで質問してタマゴケであることが分かりました。
分かってみれば、葉が水をはじいてプレパラート作成が難しかったことや、仮根が多いことなど、タマゴケ科の特徴がありました。 また同じ日に少し離れた所で茶色くなった蒴をつけたタマゴケも見ています。 しかし上の写真の蒴が本種のものだと勘違いしたところから、タマゴケではないと無意識のうちに頭にインプットされてしまっていたようです。
タマゴケの葉は前にも一応調べてはいるのですが、蒴を見て簡単に同定できるので、これまでじっくり葉を調べたことが無かったことも、名前が分からなかった大きな原因です。
上は湿った状態です。 葉には比較的長い鞘部があり、それを含めると葉の長さは4~7mmになるようです。
乾くと葉は上の写真のように巻縮します。 茎は全長にわたり赤褐色の仮根に覆われています。
中肋は葉の先端から短く突出しています(上の写真)。 葉縁には鋭い歯が並んでいます。
鞘部の細胞は透明で平滑です(上の写真)。
葉身細胞は方形~矩形で、長さは8~13μmです(上の写真)。 下に書くように細胞には1~2個のパピラがあるのですが、真上から見た上の写真では分かりにくいですね。
上の写真では中肋にピントが合っていませんが、中肋にピントを合わせると・・・
中肋背面には鋭い歯があります。 分かり易い所を青い円で囲みました。 後に書くように葉縁の歯は対になっているのですが、上の写真でもそれが分かります(赤い円で囲んだ部分)。
上は葉の横断面です。 葉身部は1細胞層で、背面にも腹面にも大きなパピラがあります。 葉縁は2細胞層で、この葉縁の細胞が歯になれば、対になった歯になります。
上の写真は葉先に近く、ほとんど中肋に占められていますが、対になった葉縁の歯の分かり易い所を赤い円で囲みました。
上は仮根で、太い仮根から枝分かれして次第に細い仮根になっていきます。 仮根の表面にはたくさんのパピラがあります。
上は茎の横断面で、左からは葉が、右下からは仮根が出ています。 中央には中心束があるように見えます。
(2021.10.31. 大阪府枚方市穂谷)
◎ タマゴケの葉はこちらにも載せています。 また、こちらにはタマゴケの胞子体の変化を、こちらには胞子体のつく位置を載せています。
0 件のコメント:
コメントを投稿