写真は8月20日に大阪市立自然史博物館で行われた行事「標本の名前を調べよう」でKさんに見せていただいたコケで、当初はイヌノハゴケ Cynodontium polycarpum またはその近縁種だろうとして、このブログに載せていました。 ところが、Kさんが遺伝子をしらべてもらったところ、なんと、タマゴケ Bartramia pomiformis だったことが分かりました。 両種は分類学的にはかなり離れた位置にありますが、下に書くように配偶体だけを比較すると、とてもよく似ています。
当初からイヌノハゴケと言い切れずに、その近縁種かもしれないとしていたのは、1つには蒴が無いのでよく分からない点があること、もうひとつは、平凡社では高地となっていますが、採集地が奈良県宇陀市の標高250m付近であることでした。
上は乾いた状態で、葉は緩くねじれています。
葉は線状披針形です。
上は葉先です。 当初、葉縁には細かい歯があり、葉身細胞は矩形、中肋は葉先に達しているとしていました。 タマゴケであれば葉縁の歯は双歯ですし、中肋は葉先から少し飛び出しているのですが、その違いはわずかで、確認できていませんでした。 また、葉身細胞や以下の特徴は、とてもよく似ています。
翼部の細胞は分化していません。
葉身細胞には1個の三角形のパピラがあります。 これは上のように葉が折れ曲がって細胞を横から見ることができる所で、はっきりと確認できます。
上は葉の横断面です。 葉縁は2細胞層です。 ガイドセルがあり、その腹側にステライドがあります。
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