9月20日の朝日新聞DIGITALに、堺市のニサンザイ古墳でオニバスが確認されたとの記事が載ってたので、行ってきたのですが、柵があり、柵の外から撮れたのは上のような写真だけでした。 葉の表面はデコボコしています。
オニバス( Euryale ferox )は環境省レッドリストで絶滅危惧II類に指定されているスイレン科の浮水性の水草です。 葉はとても大きく、大きな葉では直径が2mほどにもなるのですが、1年草で、毎年種子から育ちます。 種子の寿命は長いらしく、長い眠りについていた種子が発芽して、思わぬ所に出現することがあります。 このニサンザイ古墳でも過去にオニバスがあったという記録は無いようです。
この古墳は昨秋、護岸工事のために堀の水を完全に抜いており、大阪市立自然史博物館の佐久間主任学芸員によると、「泥が攪拌(かくはん)され、長年泥の中で眠っていた種子が刺激された可能性がある。」とのことです(朝日新聞より)。
突然出現して驚かせることもある反面、今年確認できた場所で翌年は確認できないことも多い植物です。 その理由の1つは、1年生植物ですので、沈んでいた種子に蓄えた栄養分だけで池の底から葉柄を伸ばして水面に葉を広げなくてはなりません。 発芽時に水深が深いようだと、伸びるのに必要な栄養分が不足し、光合成できないままに枯れてしまいます。
これだけいろいろ書いて最初の1枚の写真だけではものたりないので、少し追加しておきます。 下は1981年に長居植物園の大池で撮ったオニバスの写真です。
当時は写真のようによく育っていましたが、やはり水位が安定的に高くなったためか、年々少なくなり、もうかなり以前から全く見ることができなくなりました。
この写真の葉の無い所でサークル状に突き出しているのは花です。 よく育ったオニバスは、このようにサークル状に花を並べます。 花は閉鎖花が多いうえに、咲いても大きく開かず、いつまでもツボミのようです。
上の2枚は栽培されていたもので、水深の浅い所で発芽させて育てれば、たくさんの花が咲くのでしょうか。