2021-04-06

若い無性芽をつけたカタハマキゴケ

 


 宮崎県日南市の飫肥(おび)の町中の石垣にあったカタハマキゴケ Hyophila involuta です。 肉眼的にはハマキゴケととてもよく似ています。
 大阪付近で見られるのはほとんどがハマキゴケで、本種を見ることは少ないのですが、南九州ではほとんどが本種でした。

 上は葉ですが、基部に若い無性芽をつけています。 本種とハマキゴケとの分かり易い違いとして、葉の上部の鋸歯と無性芽の形が挙げられますが、まず無性芽について見ていくことにします。

 上の写真でも、葉の基部から無性芽形成のための柄が伸びて、その先に形成途中の無性芽がついています。 下はこの若い無性芽の拡大です。

 ハマキゴケの無性芽が倒卵形~洋梨形であるのに対し、本種の無性芽はいがぐり状と言われています。 上の写真の状態は、細胞が集まってもこもこしていて、ハマキゴケの無性芽(こちら)とは異なっていますが、いがぐり状とは言えません。 これはまだ未熟な無性芽であるためで、これから個々の細胞が分裂してあちこちの方向に伸び、1細胞列の“いが”になっていくはずです。

 上は葉の上部です。 ハマキゴケの葉が全縁であるのに対し、本種の葉の上部の葉縁には低いまばらな鋸歯があります。 中肋は葉頂に達しています。

 上は葉の中央部です。 葉身細胞は丸みのある方形で、長さ(=幅)は5~8μmです。


 上は葉の横断面です。 中肋には背腹両面にステライドがあります。 葉身細胞は腹面側に膨れています。

(2021.3.2. 宮崎県日南市)

こちらにはカタハマキゴケの蒴の様子を載せています。

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