上は 12月13日に京都の貴船で撮ったタマゴケ Bartramia pomiformis です。 胞子を出し尽くして褐色になり、破れてボロボロになった蒴は、その後に伸びた茎につく新しい葉に隠されようとしていて、その傍らには新しく伸びてきた細い胞子体があります。
今日は大晦日、テレビからもいろいろと総集編が流れたりしていますので、このブログでもタマゴケの蒴の変化を追いかけてみました。
2月中旬、タマゴケの蒴が膨れはじめています。 まだ細いままの蒴が混在しているということは、蒴は比較的短時間のうちに膨れるということなのでしょう。 (2015.2.19. 和歌山県 上古沢)
3月上旬、タマゴケの蒴はすっかり丸くなっていました。 蒴全体が明るい緑色で、帽の取れてしまった蒴もたくさんあります。 上の写真はタマゴケの蒴と水玉の共演を強調するために、少しコントラストを強めてあります。 (2016.3.9. 京都市北山 菩提道)
蒴の壺の色は濃くなり、蓋には少し透明感が出て来たようです。 (2016.3.13. 和歌山県 川上村)
蓋に色が付き始めました。 蓋が壺から外れるにあたり、落葉前の紅葉と似たしくみが働いているのでしょうか。 想像を逞しくすれば、蒴歯も死細胞からできていますから、蒴歯が濃い色になるのも同様のしくみかもしれません。 (2016.3.29. 岩湧山)
蓋と壺の色の差は、ますます明瞭になってきました。 この頃がいちばん“目玉おやじ”でしょうか。 5月上旬ですが、標高が1,000mほどの所ですので、低地より季節の進行が少し遅いようです。 (2015.5.2. 金剛山 山頂)
5月中旬、蓋は無くなり、蒴歯が見えていて壺には縦じわが現われはじめています。 もう胞子が出はじめているようで、下は上と同じ日の少し離れた場所ですが・・・ (2017.5.10. 高槻市出灰)
胞子を出すにつれて壺は縮まり、縦じわが深くなります。
7月中旬、蒴全体がすっかり褐色になっています。 膨れてツヤツヤなのは雨に打たれて水を含み、表面も水の膜に覆われているからでしょう。 (2016.7.13. 京都市 西芳寺川)
7月下旬、春の遅い標高 2,000m前後の北八ヶ岳でも、褐色でからっぽになったタマゴケの蒴を見る事ができました。
◎ こちらやこちらではタマゴケの配偶体を観察しています。 またこちらでは胞子体の生じる位置などを載せています。
※ こちらには原始的な担子菌の1種である Eocronartium muscicola に寄生されたタマゴケを載せています。