カビ防止に普段あまり使わないレンズを持ち出してカモを撮影してきました。
メジロガモ(オス) |
アメリカヒドリ(オス) 強風で頭のセットが乱れています |
アカハジロとホシハジロの雑種(メス)のようです |
オナガガモ(オス) |
オナガガモ(オス) |
ヒドリガモ(オス) |
(2021.1.29. 鶴見緑地)
昨日載せたキブリナギゴケと共に同定を依頼されたコケで、生育状況を示す写真はありません。 以下の観察結果からヒメコクサゴケ Isothecium subdiversiforme のようです。
上は送られてきた標本ですが、二次茎の上部と思われます。 本種の一次茎から立ち上がった二次茎の上部は、不規則に分枝し、多くの枝を出し、やや樹状になります。 枝先は上の写真のように細くなります。
枝の中部の葉の長さは2mm前後です。
葉は卵形~卵状楕円形で鋭頭です(上の写真)。 葉の中央部は凹んでいますので、縁にピントを合わせると中央部はボケます。
葉先の縁にはやや大きな不規則な歯があります(上の写真)。
上は中肋にピントを合わせています。 中肋は1本で、葉の中部以上に達しますが、しばしば途中で枝を出したり、上の写真のように上部で何本かに分かれたりします。
翼部の細胞は濃緑色の区画をつくっています(上の写真)。
上は翼部の拡大です。 翼部は葉身細胞より短く幅広い細胞からなっています。
上は葉身細胞で、長さは 25~40μmです。
◎ ヒメコクサゴケはこちらにも載せています。 またこちらには蒴の様子を載せています。
写真はキブリナギゴケ Kindbergia arbuscula のようです。 コケとしては大形で、基物上を這う一次茎から立ち上がる二次茎は硬く、上部で多くの枝を出し、樹状になります。
知人をとおして同定を依頼されたものですので、生育状況が分かる写真はありませんが、和歌山県田辺市の伐採に伴う道路工事が予定されている所の、石や倒木の上に育っていたということです。
枝の幅は葉を含めて1mmほど、茎につく葉は大きい葉で長さ1~1.5mmです。
上は枝先です。 枝葉は広卵形で漸尖し鋭頭です。
茎葉は上の写真のように茎を半周ほど囲むようについています。 したがってこの葉を1枚完全な姿形で取り出すのは無理で・・・
上は片側が基部まで完全な茎葉です。 ほぼ全周に歯があり、中肋の先には1個の歯があります。
上は葉身細胞です。
◎ キブリナギゴケはこちらにも載せています。
花崗岩上を這い回るコケ、よく見るツクシウロコゴケとは印象が少し異なり、ウロコゴケかもしれないと思ったのですが、以下の観察結果からは、やはりツクシウロコゴケ Heteroscyphus planus のようです。
葉は重なり、ほぼ舌形で切頭、ほぼ同じ大きさの数個の歯がありますが、葉の長さは1.2mmほどです。 平凡社の図鑑のウロコゴケの葉の長さは1.5~1.8mmとなっています。
腹葉は、茎の径の1~1.5倍幅で、大きく2裂し、側縁に1~2個の刺歯があります(上の写真)。
上は葉身細胞で、油体はほぼ球形です。 ウロコゴケの油体は、各細胞に3-5個,紡錘形,ブドウ房状です。
(2021.1.15. 箕面公園)
上は大阪市にある温室「咲くやこの花館」の熱帯雨林植物室にあったコケです。 たくさんのコケが高密度に混生していて、温室内で枝分かれの様子などが分かる写真は撮れず、2020.12.27.に少し持ち帰ったものを撮ったのが上の写真です。 葉は密につき羽状に分枝しています。
このコケについては、同定を急がねばならなかったこともあり、葉の細胞を観察してフクロハイゴケだと決めてしまっていました。 葉先がフクロハイゴケより長く伸びているのは当初から気になっていましたが、他に似たコケも思いつかず、温室という特殊な環境のせいにしてしまっていました。
今日、いちおう確認をと平凡社の図鑑を見たところ、シマフクロハイゴケ Vesicularia reticulata という種が目に留まり、改めて見直してみると、どうやらこのコケのように思います。 分布は伊豆七島、九州、琉球;アジアの熱帯~亜熱帯となっていますが、何かの植物について持ち込まれた可能性もあり、熱帯雨林植物室にあっても不思議はありません。
検索してみると、ウィローモス同様熱帯魚の水槽などにも用いられ、広く出回っているようです。
葉は卵状披針形~広披針形で、先は漸尖して長く尖っています。 平凡社の図鑑では葉先の縁に小歯があると書かれていますが、上の写真では小歯はあるような無いような・・・
上は葉身細胞です。 フクロハイゴケの葉身細胞は長い六角形ですが、本種では長い菱形が混じっています。
胞子体がついている所もありました。 葉はズタズタですが・・・
上は蒴です。
上は蒴歯を蒴の内側から撮っています。 色の濃い方が内蒴歯で、白っぽいのが外蒴歯です。
蒴歯の一部を拡大してみました(上の写真)。 内蒴歯、外蒴歯とも、パピラに覆われています。
(Part1 2014.1.31.からの引っ越し記事です。 引っ越しにあたって文章等も少し変更しています。)
写真はヤツデの葉の裏にいたカタビロコバチ科の一種です。 体長は2.5mmほどでした。 このカタビロコバチは腹部第3?節が大きく、以下の節を覆っています。
上は動きを止めるために冷蔵庫にしばらく入れていたもので、しばらくすると下のように歩きはじめました。
カタビロコバチ科の蜂は、前にキイロカタビロコバチを載せています(こちら)が、今回の蜂は、翅に黒い紋も無く、明らかに別種です。
体はほとんど黒一色ですが、頭部や胸部の細かい点刻が美しく、また、上に書いた腹部も気になるので、深度合成してみました。
それぞれの点刻から毛が生えているようです。
こちらのヒメコバチ科(Chrysocharis属)のところで、死んだ場合の体の曲がり方が気になることを書きました。 今回のカタビロコバチは、このヒメコバチとは逆の曲がり方をしています。
上は、このカタビロコバチがいたところの状況です。 一緒に写っているのはニッポンオナガコバチとヒメヨコバイの一種でしょう。
咲くやこの花館でのコケ展(こちら)で、せっかくの植物を栽培展示している温室なのだから蘚苔類でない“コケ”も展示しましょうと提案し、ウサギゴケ Utricularia sandersonii も展示していただきました。
和名はもちろん花がウサギに似ている小さな植物だからで、花の大きさも1cmほどしかありません。 改めて花を接写すると、丸い顔と長い耳が似ているだけでなく、お休み中の細い眼まであることに気がつきました(2021.1.17.撮影)。
上は数年前に撮った写真で、下にある丸い葉がウサギゴケの葉です。 花に比べて葉が少ないのは、本種が地下茎についている小さな袋で微生物を捕らえる食虫植物だからでしょう。
ウサギゴケの原産地は南アフリカ共和国で、湿地に生える多年性のタヌキモの仲間です。 湿地に生える植物ですから、本物のコケと組み合わせて育てることもできそうですが、蒸れには弱いようですので、テラリウムには不向きかもしれません。
岩上で育っていた写真のコケは・・・
葉は枝に接していますが、細い枝先では葉は枝に圧着せず、扁平ぎみについています。 大きな葉の長さは 1.5mm以上あります。
全体の様子からアオギヌゴケ属だろうと思うのですが、茎と枝がはっきりしません。 アオギヌゴケ科ではふつう茎葉が枝葉より大きいはずで、2枚目の写真の長く延びている部分は走出枝状に伸びた部分と考えました。
とりあえず大きな葉と小さな葉を並べてみました。 枝葉の中肋が葉の中部付近で消えるのは間違いなさそうです。 上の写真の大きな葉(茎葉?)は葉先が切れているので、下にもう1枚載せておきます。
葉は弱い縦じわがあり、ほぼ全縁ですが、葉先に近い部分にかすかな歯があります。 葉先は細胞が1列につながっていて、毛状と言っていいと思います。
以上の結果を基に平凡社の検索表をたどると、ケアオギヌゴケ Brachythecium piligerum に落ちました。 しかし平凡社の図鑑には、ケアオギヌゴケは検索表のみで、種別の解説はありません。 もう少し詳しく Noguchi 1991 の内容と比較しました。
上は葉身細胞です。 野口図鑑では葉身細胞は 65-85×8-9μmとなっています。 上の写真は、長さはほぼ一致しているのですが、幅は5μmほどしかありません。
上は蒴柄で、汚れがひどくて少し分かりにくいのですが、上部にはパピラがあり、下部に行くにしたがって少なくなっています。 ところが野口図鑑では蒴柄は smooth!
せっかくここまで調べたのでこのまま載せておき、識者のコメントを待ちたいと思います。 また、前にケアオギヌゴケとして載せているもの(こちら)との関係も分かりません。
アオギヌゴケの仲間は難しい・・・
(2021.1.15. 箕面公園)
岩上に広がっていたヒメクラマゴケモドキ Porella caespitans var. cordifolia、マメヅタの葉も写っているので、全体のおおよその大きさも分かるでしょう。
上は腹面から撮っています。 背片基部が反対側に大きく張り出しているため、上の写真では背片の長さが分かりにくくなっていますが、大きな背片の長さは2mmほどあります。
背片の先は長く漸尖し、腹片は長舌形で、全縁、鈍頭です。 腹葉は茎に張り付いたようになっていて、少し分かりにくくなっています。
上は腹葉にピントを合わせて撮ったのですが、はっきりしませんので、線を書き加えたのが下です。
腹葉の幅は茎葉よりわずかに広く、葉先は全体的に見れば切頭ですが、肩に歯があるものや、上の写真より深く2山を形成しているものなど、同じ茎についている腹葉にも変異が見られました。
茎についたままの腹葉は分かりにくく、背片と腹片の関係も明瞭に写そうと、これらを茎から剥がそうと試みましたが、葉は柔らかく破れやすく、うまくいきませんでした。
上は葉身細胞です。 油体は小さい楕円体で均質です。
(2021.1.15. 箕面公園)
◎ ヒメクラマゴケモドキはこちらにも載せています。