2020-04-09

ウロコゴケ


 いろんなコケが混じった群落で苔類の蒴が目に留まりましたが、その葉がどれだか分かりません。
 蒴が4裂する苔類は多いのですが、少しずつ違いがあります。 写真の胞子体は蒴柄の太さのわりには蒴が小さい印象です。


 開裂した蒴には全面に弾糸が残っています。


 なかには5裂している蒴もありました。


 どの苔類が蒴を出しているのか、群落をほぐして調べてみました(上の写真)。 蒴をつけている配偶体は弱っていますが、葉の様子もどうにか分かりそうです。 花被の形からは、Heteroscyphus(ウロコゴケ属)が疑われます。


 葉は乾いて腹方に偏向していましたが、その一部に水滴を垂らして撮ったのが上の写真です。 葉の長さは2mm近くあります。


 上は顕微鏡写真です。 葉形は舌形に近く、肩が丸みを帯び、歯の大きさはほぼ同じです。 これらの特徴と、下に書く腹葉の特徴を見ると、どうやらウロコゴケ Heteroscyphus argutus だったようです。 国内におけるウロコゴケの分布は、本州~琉球列島と小笠原となっています。


 腹葉は茎径の 1.5倍ほどの幅で、2裂し、裂片は左右に大きく開き、裂片の側縁には刺歯があります。 上の写真でははっきりしませんが・・・


 上の写真には、腹葉の裂片の様子などははっきりしませんが、腹葉の基部の片方が葉と合着している様子が写っています。


 葉身細胞はトリゴンが小さく、油体はブドウ房状です。


 上は胞子と弾糸です。

(2020.3.5. 屋久島)


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