蚤のような小さな甲虫でゾウの鼻のような長い口吻を持つノミゾウムシ、これらの仲間には、幼虫が葉に潜って葉肉組織を食べて育つリーフマイナーが多くいます。 カシワノミゾウムシ Orchestes koltzei もそのうちの1種で、幼虫はカシワ、コナラ、クヌギ、アベマキなどの、落葉性のブナ科の新葉の先端に潜って育ちます。
以下は Part1の 2013年の4月8日と5月29日に載せた記事に若干の補足を加え、 2013.4.1.~5.30.に行った観察結果をまとめなおしたものです。
4月1日、クヌギでメスがオスを載せているカシワノミゾウムシをたくさん見かけました(上の写真:奈良県馬見丘陵公園)。 単独のものもいましたが、ペアになっているものの方が多いようでした。
ここでは3組の写真を載せましたが、 いずれも交尾はしていません。 産卵に適した時期を待っているのでしょうか。
近くにはムネスジノミゾウムシもいました(上の写真)。 この幼虫も同様に潜葉性です。
上は5月5日に堺自然ふれあいの森でコナラの葉を陽の光に透かして撮った写真ですが、幼虫が見えます。 カシワノミゾウムシの幼虫である確証はありませんが、可能性は高いと思います。
カシワノミゾウムシの幼虫の様子は、おちゃたてむしさんのブログに良い写真が載せられています。
※ こちらにはケヤキの葉で見た潜葉性の幼虫を載せています(2013.4.23.大阪城公園にて撮影)。 アカアシノミゾウムシの幼虫だと思われます。
5月16日に4月1日と同じクヌギとコナラが混じった場所を見に行くと・・・
先端付近の葉肉が食べられた葉をたくさんつけているコナラがありました(上の写真)。
葉を陽の光に透かしてみると、円い部屋が作られていて、その中に蛹らしきものが見えます(上の写真)。
上は葉を破って取り出した蛹で、1枚目が背側、2枚目が腹側です。
写真を撮っていると、オオシワアリが寄ってきて蛹を運ぼうとしだしました(上の写真)。 動けない蛹はアリの格好の餌となり、そうならないように、葉の中に蛹の部屋を作るのでしょう。
5月30日、5月5日と同じ場所に行ってみると、蛹がいたはずの円い部屋が破れていました。 捕食者に破られた可能性もありますが、破れ方から見て、たぶん無事に羽化したのでしょう。