上の写真のコケ、育っていたのは東京都の御岳山にある「七代の滝」の岩壁(標高約700m)で、チャボマツバウロコゴケ、ノコギリコオイゴケ、シロコオイゴケ、コハネゴケ、イトラッキョウゴケなどと岩の表面に薄いマット状の群落を形成していました(2021.11.29.)。 ルーペで見て確認できたのは上の写真の緑色の部分だけで、色の黒い部分は他のコケに隠されたり濡れた岩と似た色だったりで気づかず、採集後に思ったより大きなコケであることが分かりました。
以下の観察結果からムジナゴケ Trachypus bicolor だと思うのですが、暖かい所のコケで、平凡社の図鑑では分布は本州中部以西となっており、少し心配です。
枝の下方の葉が黒っぽくなっている所があちこちにあり、和名はこの様子を足の黒いムジナ(アナグマ)になぞらえたようです。
葉の長さは長短いろいろですが、2~3mmほどのものが多いようです。 なお、上は湿らせていますが、乾いても様子はほとんど変わりません。
葉は卵状の基部から細長く尖り、中肋は中部以上に達しています(上の写真)。 葉縁の歯は目立っていません。
上の2枚は葉先ですが、先端の細胞は細長く伸び、時に透明になります。
上は葉身細胞で、壁に沿って多くのパピラが並んでいます。
上の2枚は葉の横断面とその中肋付近の拡大です。 中肋にはステライドは見られません。 葉身細胞のパピラは背面にも腹面にもあります。
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