2015-06-26

ノコギリコオイゴケ



 写真はヒシャクゴケ科のノコギリコオイゴケ( Diplophyllum serrulatum )、別名ノコギリフタエウロコゴケでしょう。
 葉が2重になっていて葉の上に小さな葉があるように見えますが、これが和名の「コオイ」(子負い)や別名の「フタエ」(二重)の由来なのでしょう。
 葉(側葉)が折り畳まれて背片と腹片になっている苔類はたくさんあります。 この場合多くは腹側(=裏側)にある腹片の方が小さいのですが、ヒシャクゴケ科では背片より腹片の方が大きく、上から見ると背片も腹片も見えることになります。 なお、ヒシャクゴケ科のコケには腹葉はありません。


 上は1枚の葉を拡大したものですが、背片にも腹片にも歯があります。 これが名前の「ノコギリ」の由来でしょう。 なお、上の写真は背片にピントを合わせた写真と腹片にピントを合わせた写真とを合成しています。
 腹片の一部をさらに拡大してみたものが下の写真です。 この写真も深度合成しています。


(2015.6.17. 岩湧山 標高350m付近)


(以下、2015.11.12.追記)

 花被のついたノコギリコオイゴケがありました(2015.11.6. 堺自然ふれあいの森)。 花被も花被のついた枝の葉も、植物体の他の部分に比較して、ずいぶん大きいようです。


 この花被の中で育った胞子体が胞子を散布している様子はこちらに載せています。

 上の写真は、LG-1を使用し、TG-4の顕微鏡モードのサブモードで、深度合成モードではISO感度を調整できないので、ISOを100にして「フォーカスBKT」で20枚連写 (ピント位置をずらす撮影ステップは「標準」) し、CombineZPで深度合成したものです。 このようにすれば、この程度の立体のものなら、くっきりと撮れるのですが、葉の表面についたゴミもくっきりと撮れてしまいました。 撮影前のクリーニングがポイントですね・・・。

◎ ノコギリコオイゴケの無性芽はこちらに載せています。