上はマイマイツボミゴケの所に出した写真の再掲です。 今回は細長い葉のコケの方で、ホソエヘチマゴケ Pohlia proligera だと思います。 茎の上半部の葉腋に,多数の無性芽があふれるようについています。
少し動かすだけで無性芽がパラパラと落ちます。 上の写真のものでも無性芽は落ちてしまい、かなり少なくなっています。
上の写真で茎の長さは約2cm、平凡社では1~2cmとなっています。 上の写真の無性芽は黄緑色ですが、褐色の場合もあるようです。
上は無性芽で、ケヘチマゴケの無性芽などよりずっと細い糸状です。 秋山・山口(2008)によれば、本種の無性芽先端の葉原基は2個で、この点で通常3個以上の葉原基を持つ他種とは異なっているとのことです。 たしかに上の写真でも、土の無性芽の先も2本の“角”が飛び出しています。 なお、本種の無性芽は上の写真のようなものを茎の上部につけるだけで、茎の下部に違った形の無性芽をつけたり、仮根に無性芽をつたたりすることは無いとのことです。
葉はほぼ平らで、上の写真の葉の長さは 2.5㎜です。 下は上の葉の葉先付近です。
中肋は葉先近くで終わっています。 上部の葉縁には微歯があります。
上は葉身細胞です。
上は仮根で、パピラがあります。
(2025.4.5. 京都府南丹市美山町 標高約500m)
【 参考文献 】
秋山弘之・山口富美夫:無性芽を有するヘチマゴケ属(ハリガネゴケ科,蘚類)の研究 1,日本産キヘチマゴケとその近縁種の再検討.蘚苔類研究9(9),2008.