2024-01-26

ミヤベゴケ


 写真はミヤベゴケ Miyabea fruticella でしょう。 樹幹に大きな群落を作っていました。 樹皮上を這う一次茎から二次茎が斜上しています。

 二次茎は不規則な羽状に分枝しています(上の写真)。 葉は乾くと枝に接します。

 枝葉は長さ 0.5-0.8mm、葉縁上部に小鋸歯があります(上の写真)。 中肋は不明瞭ですが葉の中部に達しています。

 上は葉の中央付近です。 葉身細胞は楕円形で長さ8~13μm、非常に厚角です。

(2023.12.31. 高知県 横倉山)

◎ ミヤベゴケはこちらにも載せています。

2024-01-20

ナガスジハリゴケ

 

 写真は、雨で濡れていますが、ナガスジハリゴケ Claopodium prionophyllum だと思います。 石灰岩上にありました。

 茎はやや羽状に分枝しています(上の写真)。 乾くと葉はやや縮れます。

 上は枝先です。 枝葉は披針形で、パピラがあります。

 上は枝葉(右)と茎葉(左)です。 茎葉は広卵形の下部から急に細くなり、長さは1~1.2mmです。 小さな葉ですが、同属で本種と特徴のよく似たハリゴケの茎葉は 0.4~0.5mm、ホソハリゴケの茎葉は約 0.3mmと、もっと小形です。

 茎葉の先端は針状で、中肋は葉先から長く突出しています(上の写真)。


 上の2枚は葉身細胞と葉縁の細胞との違いを示しています。 葉身細胞にはパピラがありますが、葉縁の細胞は比較的透明でパピラはありません。

 上は葉身細胞です。 細胞の中央に1個のパピラがあります。

 上は葉の横断面です。 パピラは背腹両面にあり、三角錐の形をしています。

(2023.12.31.高知県 横倉山)

2024-01-15

イワイトゴケモドキ

 

 樹幹に育っていた写真のコケ、イワイトゴケモドキ Haplohymenium sieboldii のようです。 イワイトゴケによく似ていますが、イワイトゴケの枝葉が円頭~広い鋭頭であるのに対し、本種の枝葉は上の写真のように鋭頭です。

 上は湿った状態で、下は乾いた状態です。 

 乾くと葉が枝に密着するのはイワイトゴケと同じです。 平凡社には「一般に茎はやや羽状に分枝し(以下、略)」とありますが、枝ぶりは環境によってよく変わり、違いは重視できないでしょう。

 上は枝葉です。 長さは 0.6~0.7mm、中央付近でやや急に細くなる傾向はありますが、イワイトゴケほどではなく、上に書いたように葉先は鋭頭、葉は縦に裂け目が入ることはあっても、イワイトゴケのように途中で折れやすい傾向は見られませんでした。

 上は葉身細胞です。 長さは8~12μm、各細胞には4~6個のパピラがあります。

(2024.1.13. 兵庫県宝塚市 武田尾)

2024-01-06

リュウキュウゴヘイゴケ

 

 石灰岩上で干乾びてほとんど真っ黒になっていた写真のコケ、少し持ち帰って湿らせると、一部に緑色の所が現れ、調べるとリュウキュウゴヘイゴケのようです。 なお、学名は平凡社では Mastigolejeunea auriculata、片桐・古木(2018)では M. repleta となっています。

 葉を含めた茎の幅は 1.5~2mmでした。

 上は腹面から撮っています。 背片は密に重なっています。

 背片の腹縁は内曲し、それがそのまま腹片に連なっていますので、その境が不明瞭な場合が多くあります。 腹片の先に鈍歯がありますが、この鈍歯もほとんど目立たないものから上の写真のように大きなものまで様々です。

 細い枝につく小さな葉では、上の写真のように腹片が明らかです。

 上は腹面から腹葉にピントを合わせて撮っています。 腹葉はうっすらと見えている茎の約3倍幅です。

 上は背片で、長さは1~1.5mmで全縁です。


 上の2枚は背片の葉身細胞で、上が中央部、下が基部近くです。 油体はブドウ房状で、各細胞に1~3個あります。

 腹葉は倒卵形で全縁、切頭~微凹頭で、やや外曲しています(上の写真)。

(2023.12.30. 高知県 横倉山)

2024-01-04

ニセイシバイゴケ

 石灰岩上のコケ群落(上の写真)、蘚類はニセイシバイゴケ Tuerckheimia svihlae、苔類はイトコミミゴケ Lejeunea parva だと思います。 以下は前者についての観察記録です。

 上は、少し離れた場所にあった、乾いた状態の本種です。

 葉は線状披針形で、長さは約3mmでした(上の写真)。

 上は葉先です。 中肋はわずかに突出していて、その部分は平らで透明感があります。

 上は葉の基部です。

 上は葉の中部の細胞で、枝分かれして花のように見える大きなパピラがあります。

 上は葉の横断面です。 中肋と葉身部との境付近は裂けやすいようで、上より薄く切った下の切片では、葉身部はほとんど残っていません。

 中肋の背面にも腹面にもステライドが発達しています(上の写真)。


 上の2枚は茎の横断面とその中心部の拡大です。 茎には弱い中心束があります。

(2023.12.31. 高知県 横倉山)