2015-02-28

イエユウレイグモ


 外壁にいた細身で脚の長いクモ、左の歩脚第1脚を失くしています。


 上はほぼ正面から撮っています。 眼は、左右に3個ずつが集まり、その間に2つの眼が位置する独特の配置で、ユウレイグモ科には違いがないでしょう。 体の色には個体変異があって少し不安ですし、室外にいたのですが、多くの場合は室内で見られるイエユウレイグモ( Pholcus phalangioides )だと思います。



 1枚目の写真は壁にへばりついていますが、歩きだすと、長い脚で体を高く持ち上げて、フワフワとしています。 たしかに地に足が着いていない雰囲気で「ユウレイ」の名前もそのあたりからきているのでしょう。

※ 野外で普通なユウレイグモ( Pholcus crypticolens )はこちらに載せています。

(2015.2.25. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2015-02-27

ナガバチヂレゴケ(イシノウエノヒダゴケ)



 写真はギボウシゴケ科のナガバチヂレゴケ Ptychomitrium linearifolium でしょう。 帽が蒴の中ほどまでを覆った姿が特徴的です。

 なお、この蒴の年間をとおしての変化として、 11月のまだ若い蒴をつけた様子をこちらに、胞子を飛散させた後の5月の様子をこちらに載せています。

 葉は線状披針形で、乾くと、上の写真のように、強く巻縮します。 そして、湿ると下のようになります。


 葉先は鋭頭で、葉の上部に大きな鋸歯があります。 また、中肋は太く、葉の先端の下で終わっています。
 なお、同じチヂレゴケ属のチヂレゴケは、葉が全縁で、帽は蒴の基部までを覆っています。

(2015.2.15. 交野市)

2015-02-26

ヒメコバチ科 Entedon nomizonis Kamijo のメス

 伐られて積み上げられていたアカマツの樹皮を剥いでみたところ、下のようなヒメコバチがいました。 体長は2.2mm、翅端までは2.6mmでした。


 このヒメコバチは、前にこちらに載せた、ヒメコバチ科 Entedon nomizonis Kamijo のメスだと思います。 なお、この蜂のオスと思われるものは、こちらに載せています。



 上はこの蜂がいた所です。

(2015.2.10. 富田林市 錦織公園)

チヂミバコブゴケ


 上の写真はシッポゴケ科のチヂミバコブゴケで、手前は霧吹きで湿らせてありますので、葉は伸びていますが、奥の葉は縮れています。 このように、チヂミバコブゴケの葉は乾燥すると縮みます。


 次に、蒴に注目します。 写真の状態の蒴はまだ若く、まだみんな帽子を被っていますが、このような若い蒴でも、その基部にこぶ状の突起が見られます。 下は蒴の拡大です。


 この「こぶ」は蒴の蓋が取れ、胞子を飛ばすようになっても、そのまま残ります(こちら)。

(2015.2.15. 交野市)

2015-02-25

トビモンオオエダシャク

 一昨日(2月23日)の夜7時半、自宅2階の窓の網戸に、大きさやシルエットからして同種らしい2頭の蛾が、1mほど離れてとまっているのを発見しました。 背中側からの写真は撮れそうもない場所なので、手の届きやすい方に手を伸ばすと、逃げることもなく、うまく指に乗り移ってくれました。
 見ると、トビモンオオエダシャクのオスでした。 この蛾の姿を見ると早春を実感するのですが、もう羽化しているんですね。




 いろいろの方向から写真を撮って、もう少し腹側から撮ろうとすると、コテンと偽死状態になってしまいました。



 オスの触角はよく発達し、細い枝をたくさん出しています。

 オカモトトゲエダシャクなどでもそうですが、この時期は寒さのためでしょうか、全く飛ぶ気が無いように見える蛾が多いように思います。 しかし2階の窓まで飛んできているのですから飛翔力はあるはずで、いつ活動するのかな、などと思っているうちに、活発に行動しない蛾が、近くに発生するような木の無い所に2頭一緒にいる不自然さに気がつきました。 まだ網戸にいるもう1頭を確認に行くと・・・


 上は室中から網戸越しに撮ったものですが、 蛾の後ろに点々とゴミのようなものが見えます。 ルーペで確認すると、やはり卵でした。 ここで交尾した後に、メスは産卵しながらゆっくりと前進していたのでしょう。
 こうなるとメスも撮ってオスと比較したくなります。 窓から身を乗り出して、どうにかメスも捕らえました。



 まだ卵を持っているようで、腹部が大きく見えます。 個体差も考えなくてはなりませんが、メスの方が斑紋ははっきりしないようです。


 触角は翅の下に隠していましたが、オスの触角と比較したいと思い、つついていると、翅の上に出してきてくれました(上の写真)。 触角は鱗粉に覆われていて、枝分かれは無さそうです。


 鱗粉に覆われている触角の一部を拡大してみました(上の写真)。 周囲にもいろんな色や形の鱗粉が見えます。

 撮影の後、オスもメスも庭木に止まらせておいたのですが、翌朝にはいなくなっていて、近くを探しても見つかりませんでした。


 卵も網戸からはがして撮ってみました。 卵は長さが0.8mm、幅が0.5mmほどでした。 上の写真は手持ち撮影数枚からの深度合成です。

 卵を載せたので、参考に以前撮ってあったトビモンオオエダシャクの幼虫も下に載せておきます。 2012年6月2日の撮影です。


2015-02-24

コスギゴケ

 コケ植物の代表のように扱われることの多いスギゴケですが、じつは種としてのスギゴケは、本州中部以南では高い山に登らないと見ることができないものであることは、ナミガタタチゴケの所に書きました。 高校などの教科書でスギゴケとして書かれているのは、「スギゴケの仲間」の意味で、具体的な図には、身近に見られるコスギゴケの図が載せられている場合が多いようです。 なお、スギゴケ( Polytrichum juniperinum )とコスギゴケ( Pogonatum inflexum )は属も異なります。

撮影 : 2015.2.19. 和歌山県 町石道

上がそのコスギゴケです。


 上は乾いた状態のコスギゴケです。 蘚類を見分けるポイントの1つに、乾燥時の葉の様子があります。 コスギゴケの仲間( Pogonatum属)の葉は、乾くと写真のようにくるくる巻いたりよじれたりしますが、スギゴケの仲間( Polytrichum属)の葉は、乾いても茎に沿って寝るだけで、ほとんど縮れません。


 上はコスギゴケの1枚の葉で、葉の縁には鋸歯が並んでいます。


 上はコスギゴケの葉の断面を見たもので、上が腹面(茎に面している側)です(写真を2016.7.13.の京都市西芳寺川産に入れ替えています)。 腹面に櫛の歯状のものがびっしり並んでいます。 これは薄板(ラメラ)と呼ばれていて、これがあるのがスギゴケ科の特徴です。 ナミガタタチゴケの葉ではこの薄板は中央脈の上に数本存在するだけでしたが、コスギゴケでは葉の腹面全体が薄板に覆われています。

 次に、蒴(さく)を見ていくことにします。

上が帽子(帽)を被った状態のコスギゴケの蒴です。


 帽子を取ると(上の写真)、蓋のついた蒴が現れます。


 上の写真では蒴を横にしています。 蓋を取ると、緑色をした胞子が出てきます。


 上は蒴歯を拡大して撮ったものです。 写真から蒴歯の数を数えてみると、向こう側はボケていて数えられませんが、手前側にはおよそ15本ほどが数えられます。 蘚類の蒴歯の数は、8、16、32、・・・と倍々に変化していきますから、コスギゴケの蒴歯は32本だと言えます。 こちらでは、この蒴歯を顕微鏡でさらに詳しく見ています。 なお、スギゴケ科のなかには64本の蒴歯を持つ種類もあります。

◎ コスギゴケはこちらにも載せています。


2015-02-23

2月のウシガエル

 上は大阪府交野市で 2015.2.15.に見たカエルです。 気温の低いこの時期のことですから、動きは緩慢で、撮影は楽にできました。
 下に書く時期的な理由や体色からニホンアカガエルのオスだろうと思い、記事にしていたところ、ウシガエルの亜成体ではないかとのコメントをいただきました。 見直してみると、体形はたしかにウシガエルです。
 ちなみに、 ニホンアカガエルの産卵時期は2月頃で、この時期になるとニホンアカガエルは冬眠から覚めて交尾・産卵し、また冬眠(春眠)します(こちら)。 ニホンアカガエルのこの時期の体色は、赤みはあるものの、暗い色をしており、あごの下も、本来の白色ではなく、婚姻色が出ています。


2015-02-22

ヘラハネジレゴケ


 上の写真は民家の土留めの石垣の隙間を埋めるセメント部分に生えていたヘラハネジレゴケで、縦長の写真を横にしたものではありません。 ヘラハネジレゴケはアルカリ性を好むようで、よくセメント上に生えています。


 葉は湿って葉が開いた状態では、名前のようにヘラ状の形をしているのですが、上の写真のように乾いた状態では、これも名前のようにねじれてしまっています。 葉の中肋は、毛状の透明尖として、葉の先端から長く突出しています。


 胞子体は頂生し、蒴は長楕円形で直列します。


 最初に書いた生育環境は、ハマキゴケと共通する要素もあり、混生している場合もよくあります。 上の写真は、手前の褐色の葉はハマキゴケで、胞子体はヘラハネジレゴケのものです。

(2015.2.15. 交野市)

◎ ヘラハネジレゴケの細胞の様子などはこちらに載せています。


メジロガモ(オス)


 メジロガモ( Aythya nyroca )はユーラシア大陸の西側を中心に分布しており、日本で見ることは稀ですが、一昨年に続き、今年も大阪府下に来ています。 もっとも、本来の分布域が日本と全く別の場所なので、何かの血が混ざっている(雑種)のではないかと気になります。 いちおう学名で検索して本来の分布域のメジロガモを見たのですが、頭の形に、盛り上がったものと丸いものとの2種類がいるように見えて余計に混乱してしまいました。 たぶん見る角度によるのでしょうが・・・。
 名前のとおり目 (虹彩) は白いのですが、虹彩の白いのはオスだけで、メスの虹彩は褐色です。 頭部から胸部にかけて赤褐色で、体の上面は黒褐色(メスはこの部分も褐色)、嘴は灰黒色で、嘴爪(嘴先端の爪状の突起)は黒くなっています。


 首を伸ばすと、首の黒褐色帯がよく分かります。


 下尾筒は白色です。



 腹面は白色、翼上面には白帯があり、翼の下面は縁を除いて白色です。


 脚の色も見たかったのですが、水浴びは派手にやってくれても、脚は出してくれません。 頭がかゆくなってくれればいいのですが・・・。

2015-02-21

キモンナガカメムシ


 写真はヒノキの樹皮裏にいたカメムシで、ナガカメムシ科ヒョウタンナガカメムシ亜科のキモンナガカメムシ( Paradieuches lewisi )だろうと思います。 体長は 4.4mmでした。 個体数は少ないようで、冬季には比較的よく見つかるものの、夏季の生態はよく分かっていないようです。



2015-02-20

ヤドリカニムシ科の一種


 ヒノキの樹皮の下にいたカニムシ、BABAさんフッカーSさんそらさんなどのところに載せられているものと同じで、ヤドリカニムシ科の一種でしょう。 体長は 2.8mmでしたので、まだ幼虫なのかもしれません。


 カニムシの仲間はクモ綱カニムシ目に分類されています。 4対の歩脚と、大きく発達して鋏の形になった触肢( 鋏角 )があります。 まるで尾部の無いサソリですが、サソリはクモ綱サソリ目に分類されていますから、たしかに兄弟関係にはあるんですね。