2016-11-28
胞子体が見えはじめたコゴメゴケ
メタセコイアの幹に着生していたコゴメゴケ Fabronia matsumurae、よく見ると胞子体が現われはじめていました(上の写真の赤い二重円)。
◎ 帽を脱ぎはじめた胞子体の様子はこちらに載せています。
横から撮ると、もう少し分かり易くなります。 上の写真は湿らせて撮りましたので、1枚目の写真とは異なり、葉が開いています。
和名の「コゴメ」とは「小米」つまり搗(つ)いた時に砕けた米のことでしょう。 米の1粒より小さいことになりますが、実際にはどれくらいの大きさなのか、1枚の枝葉の長さを測ってみたのが下の写真です。
上は最小目盛が 10μmですから、上の写真の葉の長さは 0.7mmほどになります。 なお、平凡社の図鑑では、コゴメゴケの枝葉の長さは 0.5~0.8mmとなっています。
(2016.11.19. 鶴見緑地)
2016-11-26
蘚苔類のような生き方?のコケ
上のタイトルを見て「コケのことを学術的に蘚苔類と言うんじゃないの?」と思われるでしょうが・・・
上はメタセコイアの幹に着生している植物を撮ったもので、写真中央の葉の先が茶色くなっているコケの群落はタチヒダゴケですが、今回はその手前 (=写真の右) の赤い二重丸に注目してみました。 下はその拡大です。
葉と茎の区別が無いようですので、蘚苔類ではないだろうと思いましたが、念のため顕微鏡で観察してみたのが下です。
これは糸状緑藻でしょう。 糸状緑藻といえばアオミドロなどのように水中で生活しているものを頭に描きがちですが、このような所にも見られるんですね。
この場所は、1枚目のタチヒダゴケの葉が密着しているうえに葉先が褐色になっているように、決して湿った環境ではありません。 しかしこの糸状緑藻に水を一滴垂らして顕微鏡で観察すると、上のように乾燥で傷んだ様子は全く見られません。
一般に蘚苔類は乾燥に対する耐性が強く、また水があれば体全体から水を取り込み、短時間のうちに活発な生命活動を再開します。 上の糸状藻類もこのような生活をしているのではないでしょうか。
ところで、コケの語源は木毛(こけ)だと言われています。 木の幹などに見られる毛のような小さな植物(ここでは地衣類も植物に含めています)が木毛ですから、この糸状藻類はまさしくコケですね。
(2016.11.19. 鶴見緑地)
上はメタセコイアの幹に着生している植物を撮ったもので、写真中央の葉の先が茶色くなっているコケの群落はタチヒダゴケですが、今回はその手前 (=写真の右) の赤い二重丸に注目してみました。 下はその拡大です。
葉と茎の区別が無いようですので、蘚苔類ではないだろうと思いましたが、念のため顕微鏡で観察してみたのが下です。
これは糸状緑藻でしょう。 糸状緑藻といえばアオミドロなどのように水中で生活しているものを頭に描きがちですが、このような所にも見られるんですね。
この場所は、1枚目のタチヒダゴケの葉が密着しているうえに葉先が褐色になっているように、決して湿った環境ではありません。 しかしこの糸状緑藻に水を一滴垂らして顕微鏡で観察すると、上のように乾燥で傷んだ様子は全く見られません。
一般に蘚苔類は乾燥に対する耐性が強く、また水があれば体全体から水を取り込み、短時間のうちに活発な生命活動を再開します。 上の糸状藻類もこのような生活をしているのではないでしょうか。
ところで、コケの語源は木毛(こけ)だと言われています。 木の幹などに見られる毛のような小さな植物(ここでは地衣類も植物に含めています)が木毛ですから、この糸状藻類はまさしくコケですね。
(2016.11.19. 鶴見緑地)
2016-11-24
ギンゴケとホソウリゴケ
2016-11-23
ネリネ
ネリネ(Nerine)は南アフリカ原産の多年草で、姿がヒガンバナに似ているためか、日本ではあまり人気がありませんが、欧米では盛んに育種が行われています。 開花期は10月中旬~12月中旬ですが、寒さには弱く、上は「咲くやこの花館」の、日本の夏の高山程度の温度にしてある冷温室で撮ったものです。
現在日本で流通している園芸種の多くは Nerine sarniensis を元に改良されたものですが、ダイヤモンドリリーとも呼ばれていて、光が当たるとラメのようにキラキラ輝きます(下の写真)。
上は1枚の花被片の一部ですが、フラッシュの光でこのようにキラキラ光るのは、花の表面に凹凸があり、光を乱反射するためのようです。 この凹凸を確かめるため、上の四角で囲んだ部分をさらに拡大すると・・・
凹凸が見えてきました(上の写真)。
2016-11-21
ツルソバ
上は大阪の花博跡地で撮ったツルソバ Persicaria chinensis です。 保育社の図鑑などではツルソバの分布は亜熱帯や暖帯南部で、本州での自生地は伊豆七島と和歌山県となっていますので、心配になって植物の専門家に確認したところ、移植や栽培されたものが逃げ出したなどで、多くはないがあちこちで見られるとのことです。
上の写真では混んでいるところを撮ったので、茎がつる状に横に這っていることが分かりませんが、這った茎が斜めに立ち上がっています。 葉は卵形~卵状長楕円形で、先は急に細くなって尖り、基部は切形です。 白い花は枝先に集まってついています。
花柄にはかたい短毛が見られます(上の写真の赤い円内が比較的よく分かります)。
花後は花被が肥厚して液質になり、暗黒紫色になって黒色の痩果を包みますが、11月19日の撮影時には白い花ばかりでした。
2016-11-20
コスモス畑にて
ホシホウジャク |
ホシホウジャク |
ウスモンミドリカスミカメ |
【 撮影の設定 】
上の5枚の写真は同じカメラとレンズを使用し、同じ場所でほぼ同じ時刻に撮影しました。 カメラの設定は絞り優先にして、絞り値とISO感度はいろいろ変えています。 どの写真がどの設定で撮ったものなのか、なぜそのような設定にしたのか、考えてみてください。 ただし、2枚は同じ設定で撮っています。 また、トリミングやフラッシュ使用の有無は伏せておきます。
絞り値、露出時間、ISO感度が理解できている人には簡単な問題でしょうが、そうでない人には考えることで撮影に役立つ力がつくと思います。
a 絞り値 f/2.8、ISO感度 ISO-100
b 絞り値 f/3、ISO感度 ISO-640
c 絞り値 f/4.5、ISO感度 ISO-800
d 絞り値 f/18、ISO感度 ISO-100
(ヒント) b と c は同じと見てもらってかまいません。
2016-11-17
若い蒴をつけたヒロハツヤゴケ
上は「苔・こけ・コケ展2016」の11月11日の観察会で撮ったヒロハツヤゴケ Entodon challengeri です。 帽のついたたくさんの蒴をつけていました。
上はその時の観察会の様子で、赤いレンガの隙間にたくさん生えているのがヒロハツヤゴケです。
上は昨年の11月20日に「堺自然ふれあいの森」で撮ったヒロハツヤゴケで、やはりたくさんの帽のついた蒴をつけています。
前に10月18日に撮った、まだ若くて細い蒴をつけたヒロハツヤゴケを載せています(こちら)。 またこちらには2月26日に撮った、帽も蓋も取れて褐色になった蒴をつけたヒロハツヤゴケを載せています。
このように同じコケでも何度も見ていると、次第にフェノロジーが見えてくるようです。
2016-11-16
ジンガサゴケの雄器托
ジンガサゴケ Reboulia hemisphaerica subsp. orientalis の2月~4月の雌器托の変化を前に載せましたが(こちら)、今回は雌器托に先行して見られる雄器托の変化です。
上の写真の①は若い雄器托でしょう。 若い雄器托はこのように鱗片ですっかり覆われているようです。 ②では雄器托が大きくなり、鱗片を押し広げて姿を見せ始めています。 ③になると鱗片は雄器托の周囲にへばりついたようになっています。 精子を出し終えると、次第に④のように褐色になっていくのでしょうか。
(2016.11.11. 京都府立植物園)
上の写真の①は若い雄器托でしょう。 若い雄器托はこのように鱗片ですっかり覆われているようです。 ②では雄器托が大きくなり、鱗片を押し広げて姿を見せ始めています。 ③になると鱗片は雄器托の周囲にへばりついたようになっています。 精子を出し終えると、次第に④のように褐色になっていくのでしょうか。
(2016.11.11. 京都府立植物園)
2016-11-15
ホソウリゴケ
ホソウリゴケ Brachymenium exile がなかなか蒴をつけないことは知っていましたが、普通種ですので、そのうち蒴をつけたものに出会えるだろうし、ブログに載せるのはその時に・・・と思っていたのですが、今日に至るまで出会えず、とりあえず載せることにしました。 ちなみに和名は蒴の形に由来するようです。
茎は高さ5mm以下で、葉の長さは 0.6~1mmです。
乾くと、特に緑色をした葉は茎に接着し、縮れることはありません。
葉腋に卵形の無性芽をつけるので、茎の中央付近の手前の葉を数枚除去して撮ったのが上の写真です。 写真中央付近のものが無性芽のようにも見えますが、それ以上の確認はできませんでした。
◎ 無性芽をつけたホソウリゴケはこちらに載せています。
葉は卵形で全縁、中肋は葉先から短く飛び出ています。 中央が凹んでいますので、上の写真ではカバーグラスで押されて皺ができています。
葉身細胞は狭菱形~狭六角形で薄壁です。
(2016.11.11.京都府立植物園)
◎ ホソウリゴケはこちらにも載せています。
2016-11-14
2016-11-12
2016-11-10
ムラサキウマゴヤシ
ムラサキウマゴヤシ Medicago savita の原産地は地中海から小アジアにかけてですが、アルファルファなどの名前で、世界の温帯地域で牧草として広く栽培されています。 しかし酸性土壌が多く夏に多湿になる日本の草地にはあまり適さなかったようで、一部が野生化するに留まっているようです。
ウマゴヤシ属の多くの植物同様、果実は螺旋状に巻いています。 種子が熟した果実では上の写真よりも厚みがあるはずです。
(2016.10.23. 大阪市 舞洲)
2016-11-09
シナガワハギ
シナガワハギ Melilotus suaveolens はアジア原産の外来植物で、今では世界の各地に広がっています。 和名は江戸時代末期に現在の東京の品川付近で見つかったことからのようです。
花の中心は春から夏にかけてですが、撮影した10月下旬でも、花の大きさは少し小さくなっていましたが、黄色の蝶形花をたくさんつけていました。
葉は3小葉からなる複葉です。
果実は広楕円形で、1~2種子を入れ、裂開しません。
(2016.10.23. 大阪市 舞洲)
2016-11-07
チャボホウオウゴケモドキ
エゾホウオウゴケの変種であるチャボホウオウゴケモドキ Fissidens bryoides var. lateralis だろうと教えていただいたのですが、きっちり調べる時間がなかなか取れません。 とりあえずは外観だけですが、載せておきます。 写真右側のジャゴケは大きさ理解のための物差し代わりです。
(2016.10.12. 貴船神社奥の林道)
2016-11-06
ハイヒモゴケ
樹幹にびっしりと張り付いていたハイヒモゴケ Meteorium subpolytrichum、垂れ下がった茎の先は上方に湾曲しています。 長い柄のある蒴をつけるコケですが、この日は蒴をつけていませんでした。
拡大してみると、糸状のものが横に飛び出しています。 この糸状のものは葉の先が糸状に伸びたものです。 上の写真は乾いた状態で、葉は茎にくっついていて、1枚の葉の見分けがつきにくいのですが、赤い円で囲った所の葉などは、そのことがよく分かります。
ほぐしてみると、枝は不規則な羽状に出ていることが分かります(上の写真)。 写真の下方でほぼ水平方向に伸びている細い茎が一次茎でしょう。 古い葉は黒っぽい色をしています。
なお、上の写真は湿らせて撮っていますので、葉が横に広がって、葉を含めた枝の幅は太く感じられます。
上は左が乾いた状態、右が湿った状態です。 乾いた状態で見ると、葉を含めた茎の幅は、上の場合は先の方が太くなっているように、太い所と細い所がありますが、細い所で1mmほどです。
葉の先の糸状に伸びた部分は乾いた状態の方が目立つようです。
葉は長さ2mmほどで舌形、翼部は耳状で、上に書いたように葉の先は急に毛状に尖っていますが、この長さは葉のついている場所によってかなり異なるようで、上の写真の葉の毛状部分は短い方です(観察した葉はできるだけ汚れの少ないものを選んでいます)。
中肋は葉の中央を越えて長く伸びていますが、毛状に尖った部分にまでは入り込んでいません。 葉面は舟状に深く凹んでいるため、凹みの周囲の皺が目立っています。
上は葉のほぼ中央部を撮ったもので、右側に中肋が写っています。 葉身細胞は長楕円形、長さは 20μmほどで(右側の1目盛が 10μm)、中央に1個のパピラがあります。 なお、中肋基部付近や翼部の葉身細胞は線形になり、長さも 40μm以上ありました。
皺の部分は細胞を斜め上から見ることになるため、パピラの様子がよく分かります(上の写真)。
(2016.10.12. 京都市左京区 貴船)
◎ ハイヒモゴケはこちらにも載せています。
2016-11-05
偽マイクロソフトの警告にご注意を!
このブログにはなじまない内容ですが、急ぎのお知らせを。
私の経験したことを広く知っておいていただき、心の準備をしていただいていた方が良いと思い、記事にしました。
PCを使っていると、急に下のような表示が出ました。
(実際は褐色の背景に白文字で、〇〇の所には数値が入っていて、■の数字がどんどん増えます)
最初は慌てましたが、長年コンピュータを使っている勘でしょうか、違和感を感じました。
落ち着いてながめてみると、たしかに Windows の旗マークは本物のように見えますが、こんなマークはコピペでどこかから簡単に入手できるでしょう。 それに Windowsは自動更新されていますから、そんなに古いバージョンであるはずがありません。 さらに、見ていると、■の数字の増え方が規則的すぎます。実際のハッキングをキャッチしているのではなく、機械的に数値を増やしているだけのようです。 これは驚かせてパニック状態にして行動を迫る振込サギと同じ手口だな、と思って終了しようとすると、
ブラウザは新しいタブを開いて偽Microsoftタブを閉じれば、簡単に終了できます。
私はクリックしていないので分かりませんが、もし[無料ドライバアップデートを入手]をクリックすれば、悪質なウイルスソフトがインストールされてしまうのだろうと思います。
調べてみると、他にも似たような偽連絡がいろいろあるようです。 無理にクリックさせようとする情報には要注意です。
ちなみに、その後も私のPCは何の問題もなく、正常に動いています。 個人情報が漏れた形跡もありません。
私の経験したことを広く知っておいていただき、心の準備をしていただいていた方が良いと思い、記事にしました。
PCを使っていると、急に下のような表示が出ました。
Microsoftはお使いのWindows PCに過去25分間の間にいくつかのハッキングの試みがあった形跡を検出しました。ファイアウォールは、古いWindowsドライバによる危険にさらされています。直ちににそれを更新する必要があります.そしてすぐに Windows のマークの下に次のように表示されました。
注意!
■ のハッキングの試みがあなたのWindows PC上で検出されました.
Microsoft は、お使いのPCに過去25分間の間にいくつかのハッキングの試みがあった形跡を検出しました。古いウィンドウドライバが原因で、ハッカーはあなたのファイアウォールをバイパスすることができました。あなたのコンピュータを安全に保つために、直ちにあなたのドライバを更新する必要があります。
お使いのオペレーティングシステム: Windows 〇〇
Windowsドライバのバージョン: v〇〇 期限切れ!
お使いのWindowsカーネルのバージョン: v〇〇 期限切れ!
お使いのコンピュータを安全に維持するために、Microsoft によって認定された最新のドライバを以下から入手してください。
[無料ドライバアップデートを入手]のボタン
(実際は褐色の背景に白文字で、〇〇の所には数値が入っていて、■の数字がどんどん増えます)
最初は慌てましたが、長年コンピュータを使っている勘でしょうか、違和感を感じました。
落ち着いてながめてみると、たしかに Windows の旗マークは本物のように見えますが、こんなマークはコピペでどこかから簡単に入手できるでしょう。 それに Windowsは自動更新されていますから、そんなに古いバージョンであるはずがありません。 さらに、見ていると、■の数字の増え方が規則的すぎます。実際のハッキングをキャッチしているのではなく、機械的に数値を増やしているだけのようです。 これは驚かせてパニック状態にして行動を迫る振込サギと同じ手口だな、と思って終了しようとすると、
待って下さい!!と表示され、ブラウザが終了できなくなります。 この「待って下さい!!」の表現、ほんとうの Microsoft なら、こんな表現はしないでしょう。 また、PCを使っている最中にスキャンした形跡もなく、ウイルスの感染がそんなに簡単に分かるはずもありません。 これでこの Microsoft が偽物であることに確信を持ちました。
お使いのコンピュータは、現在感染されていて、あなたの個人情報が流出しようとしています。あなたは できるだけ早く修復 する必要があり ます。
ウイルスを除去せずにこのページを離れないでください.
ブラウザは新しいタブを開いて偽Microsoftタブを閉じれば、簡単に終了できます。
私はクリックしていないので分かりませんが、もし[無料ドライバアップデートを入手]をクリックすれば、悪質なウイルスソフトがインストールされてしまうのだろうと思います。
調べてみると、他にも似たような偽連絡がいろいろあるようです。 無理にクリックさせようとする情報には要注意です。
ちなみに、その後も私のPCは何の問題もなく、正常に動いています。 個人情報が漏れた形跡もありません。
2016-11-04
イガオナモミ
上はイガオナモミ Xanthium italicum です。 この時期はもう葉も枯れて、一般には「実」と言われている果苞も茶色くなっています。 茎の頂近くにある小さな丸いものは枯れた雄花でしょう。
一見オオオナモミによく似ていますが・・・
上は果苞の一部の拡大です。 総苞片に由来する刺にはたくさんの縮れた毛があります。 また小さな水滴のようなものもたくさんついていますが、これは画面で拡大してはじめて気がついたもので、何であるのか分かりません。
イガオナモミは1950年代に東京で見出された1年性の外来植物で、現在は全国に広がっています。 原産地は不明ですが、現在ではアメリカ、アジア、オーストラリアなどに広がっているようです。
(2016.10.23.大阪市 舞洲)
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