2014-10-31
ウスモンミドリカスミカメ
メマツヨイグサにいた小さなカメムシ、ウスモンミドリカスミカメだと思います。 ウスモンミドリカスミカメは色彩変異が大きく、そのうえ似たものが多いので、少し心配ですが・・・。
特にツマグロアオカスミカメとよく似ていますが、区別点のひとつとして、ウスモンミドリカスミカメの口吻は長く、その先端は後脚のつけ根を超えています(上の写真)。
(以上、成虫:2014.10.17. 堺自然ふれあいの森)
成虫の同定が難しいのに、その幼虫となるとよけいに難しいのですが、上がウスモンミドリカスミカメの幼虫ではないかと思っています。 セイタカアワダチソウの花に来ていました。
なかなか腹側を見せてくれないのですが、どうやら口吻は長そうです(上の写真)。
(幼虫:2014.10.15. 堺市南区岩室)
2014-10-30
キバナノマツバニンジン
キバナノマツバニンジンは北アメリカ原産のアマ科の帰化植物で、湿地を好むようです。 そのキバナノマツバニンジンが、自宅のある泉北丘陵に生えていました(上の写真)。 茎は直立して上部でほうきのように枝を分けています。
泉北丘陵には、大阪層群相当層が広く分布していて、あちこちに海生粘土が見られます。 この海生粘土層は、水を通しにくく、斜面から水がしみ出て小規模な湿地を作っている所があちこちにあります。
キバナノマツバニンジンの花は初夏に咲くと言われていますが、10月19でも、まだたくさんの花を見ることができました。 上の写真で褐色に見える植物はメリケンカルカヤとテンツキですから、季節が分かっていただけるでしょう。
少なくとも10月19日時点では、花が咲くのは昼を過ぎてからで、12時半では花は全く見られず、1時頃にやっと咲きだし、2時半には上の写真のような状態になりました。
上の写真で花殻は全く見えません。 花はこの後数時間できれいに散ってしまいます。 花の咲き始める時間や咲き続けている時間は初夏からこのような状態なのかは、来年の課題です。
上の写真で、丸いのは花の終わった後で、とんがっているのがツボミですから、花の時期はほとんど終わりかけています。
花はオシベ5本で、柱頭は5裂しています。 野に咲くアマ科の植物はほとんど見る機会がありませんが、栽培されているアマの花とは、花の色も大きさも違いますが、植物の雰囲気はよく似ています。
葉は、1枚目や2枚目の写真ではほとんど目立ちませんが、よく見ると、細長い小さな葉が茎にくっついています。
上は根元の様子を見たものです。 まっすぐ上に伸びているのが花をつけている茎ですが、ほとんど伸びていない茎もあります。 あまり伸びていない茎の葉は長さのわりに幅があり、別の植物の葉のようです。 また葉の付き方も、あまり伸びていない茎の葉は対生ですが、花をつけている茎の葉は、地際の一部を除き、互生です。
上に伸びる茎の葉は、低い所では開いていますが、上になるにつれて茎に密着していきます。
日本の自生植物として、日当たりのよいやや乾いた草地で淡紫色の花をつけるマツバニンジンがあります。 このマツバニンジンについてもキバナノマツバニンジンについてもですが、和名はどこからつけられたのでしょうね。 マツの葉も細く、ニンジンの葉も細かく切れ込んでいますが・・・。
2014-10-29
アメイロアリ
林の中で石を持ち上げると、そこはアメイロアリの巣。 卵、幼虫、蛹が散らばり、それらを安全な場所に運ぼうとするなど、働きアリが右往左往していました。
アメイロアリは、林や草地の石下、落葉層、腐倒木内などに営巣するアリです。
上は蛹をくわえて運ぼうとしている働きアリ。 蛹の眼が確認できます。
働きアリの体長は2~2.5mmです。
上の写真の中央にいるのが女王アリでしょうか。 左上にいる働アリに比べると、体長で2倍ほどあります。
(2014.10.15. 堺自然ふれあいの森)
2014-10-28
オビガ
オビガは日本固有種で、開張も4.5~5cm( mm ではなく cm ! )と、なかなか存在感のある蛾です。 撮った時は、触角が櫛歯状なのでオスだろうと思っていたのですが、調べてみると、オビガはメスの触角も櫛歯状のようです。
成虫が大きいと幼虫も大きいわけで、長い毛があるので、よけいに大きく見えます。 食餌植物はハコネウツギ、ニシキウツギ、スイカズラなどスイカズラ科の植物ですが、下の写真の幼虫は、同じスイカズラ科でも、中国原産のシナツクバネウツギを基に作られた園芸植物であるハナツクバネウツギ食べていました。 刺激を与えると、体の前を持ち上げて、左右に激しく動かしていました。
上の写真は、どうにか少し顔が写っています。
(成虫:10月10日 堺市南区豊田、幼虫:6月13日 堺市南区槇塚台)
2014-10-27
フタトガリアオイガの幼虫
この秋はどういうわけか、あちこちでフタトガリアオイガ(旧名フタトガリコヤガ)の幼虫に出会いました。 上はフヨウにいたもの( 2014.10.10. 堺自然ふれあいの森 )、そして下がオクラを齧っているフタトガリアオイガの幼虫( 2014.10.15. 堺自然ふれあいの森 )です。
背線と気門線は黄色、肛上板の朱色がポイントカラーになって、なかなか美しい幼虫です。
よく見かけるのは上のようなタイプですが、斑紋や条線の発達には変異があって、フヨウにいた下もフタトガリアオイガの幼虫でしょう( 2014.9.22. 大阪城公園 )。
フタトガリアオイガの幼虫の食餌植物は、その名のとおり、アオイ科の植物です。 フヨウもオクラもアオイ科です。
フヨウの花 |
オクラの花 |
2014-10-26
アザミヒゲナガアブラムシ、タカラダニ
写真はヨシノアザミについていたアザミヒゲナガアブラムシです。
上の写真では、2頭とも後脚を宙に浮かしています。 この姿勢では口吻を茎に差し込む時に力を入れ難いでしょうから、おそらく口吻を差し込んでから後脚を持ち上げ、植物の汁の通り道ができるだけ真っ直ぐになって飲みやすくなるような姿勢になるのだと思います。
この姿勢を見ていて、タカラダニを思い出しました。
上の写真の水色の四角の部分を拡大したのが下です。
上はカシワクチブトゾウムシの後脚に口吻を差し込んでいるタカラダニですが、全ての脚を宙に浮かしています。 もちろん最初からこの姿勢では口吻を差し込むことはできないでしょう。
なおこの後、タカラダニが体液を吸って大きく丸く膨らむと、持ち上げている脚は目立たなくなってしまいます(こちら)。
(アザミヒゲナガアブラムシ:2014.10.15. 堺自然ふれあいの森)
(タカラダニ:2014.7.27. 堺自然ふれあいの森)
2014-10-25
ミゾソバに産卵するヒメバチの一種
昨年の10月8日に、イヌタデの若い果実?に産卵しているヒメバチを載せました(こちら:撮影は9月29日)。 なお、「若い果実?」と「?」をつけたのは、これらのタデの仲間は、子房の果実への変化を保護するためだと思われますが、花後にガクが閉じて蕾のような姿に戻り、蕾と果実の時期の判別が難しいからです。
今回、おそらく上と同種と思われるヒメバチが、ミゾソバの若い果実?に産卵していました。 なお、ミゾソバはタデ属( Polygonum )でイヌタデはイヌタデ属( Persicaria )と属は異なりますが、同じタデ科で近縁です。
下の写真では、産卵管鞘は写っていますが、産卵管は根元まで花の中に差し込んでいるように見えます。
下の写真では、片方の触角をガクの間に入れています。 偶然に入ったとは思えません。
翅脈の比較的よく分かる写真も、下に載せておきます。
昨年も書きましたが、他の昆虫に寄生すると思われるこのヒメバチは、いったい何に産卵しているのでしょうかね。
(2014.10.10. 堺自然ふれあいの森)
(2015.1.30.追記)
このヒメバチは、チビアメバチ亜科のDiadegma属かEriborus属だろうと教えていただきました。 詳しくはこちらをどうぞ。
今回、おそらく上と同種と思われるヒメバチが、ミゾソバの若い果実?に産卵していました。 なお、ミゾソバはタデ属( Polygonum )でイヌタデはイヌタデ属( Persicaria )と属は異なりますが、同じタデ科で近縁です。
下の写真では、産卵管鞘は写っていますが、産卵管は根元まで花の中に差し込んでいるように見えます。
下の写真では、片方の触角をガクの間に入れています。 偶然に入ったとは思えません。
翅脈の比較的よく分かる写真も、下に載せておきます。
昨年も書きましたが、他の昆虫に寄生すると思われるこのヒメバチは、いったい何に産卵しているのでしょうかね。
(2014.10.10. 堺自然ふれあいの森)
(2015.1.30.追記)
このヒメバチは、チビアメバチ亜科のDiadegma属かEriborus属だろうと教えていただきました。 詳しくはこちらをどうぞ。
2014-10-24
タデサルゾウムシ
タデ(トゲ)サルゾウムシがイヌタデの若い果実?に口吻で穴を開けていましたが、カメラを向けると離れてしまいました。 なお、上で「若い果実?」としたのは、花が終わればガクが閉じて子房を保護するので、ツボミとの区別が難しいからです。
タデの仲間に来るゾウムシとして、口吻の短く太いタデノクチブトサルゾウムシがいるのですが、上の写真のように真上から撮って口吻がよく見えない場合は、両者はよく似ています。
( 2014.10.10. 堺自然ふれあいの森 )
マツヨイグサアブラムシ
メマツヨイグサにびっしりとついたマツヨイグサアブラムシの無翅虫に混じって、1頭だけ有翅虫がいました。
上はマツヨイグサアブラムシの有翅虫です。 カメラを向けていると、撮り易い位置に移動してくれました。
上はマツヨイグサアブラムシのついていたメマツヨイグサの花です。
( 2014.10.10. 堺自然ふれあいの森 )
2014-10-23
ナキリスゲ
ナキリスゲは関東以西の林床に生育する常緑の多年草です。 スゲの仲間は似たものが多く、同定が難しいのですが、その多くは春に開花しますから、秋に花穂をつけているスゲは限られてきます。 ナキリスゲには仲間が数種ありますが、秋に開花するやせ形のスゲで下に書くような小穂を持っているのはこの仲間に限られますし、この仲間のナキリスゲ以外はそんなによく見られる種ではありませんから、写真はナキリスゲ( Carex lenta )と言っていいでしょう。
上はナキリスゲの小穂です。 どの小穂にも細い柄がありますし、それぞれの小穂の上部には雄花が、下部に雌花が付きます。
この株の花はもう終わっていました。 果胞の先端には枯れて茶色くなった柱頭が残っています。 果実は果胞に守られて育ちます。
上は葉の一部を撮ったものです。 ナキリスゲの名前は、葉が硬く菜を切ることができそうだというところからでしょう。 たしかに葉の縁を触れるとざらついていますが、葉の縁の鋸状の突起は、上の写真のように拡大しても、やっとわかる程度の小さなものです。
( 2014.10.7. 堺自然ふれあいの森 )
2014-10-22
ミナミアオカメムシ
オクラにいたミナミアオカメムシ 2014.10.15. 堺自然ふれあいの森 |
上はオクラで交尾中のミナミアオカメムシです。 緑の所に緑の虫で、色彩的にはおもしろくない写真ですが・・・
上はミナミアオカメムシの幼虫かアオクサカメムシの幼虫かはよく分からないのですが、同じ日に同じオクラの上にいたので、たぶんミナミアオカメムシの幼虫でしょう。 親が地味なら子は派手ですね。
アオカメムシの仲間の多くの幼虫はこのように派手なようで、カナダで見た Acrosternum も派手でした。
ミナミアオカメムシは、1950年代末に四国や九州の水田で大発生し、稲作に大打撃を与えてよく知られるようになりました。 その名のとおり、熱帯地方を起源とし、暖かい地域に生息していたカメムシですが、地球温暖化と共に北上を続けているようです。
ミナミアオカメムシは、同じ属のアオクサカメムシ( 以下「アオクサ」と書きます )とよく似ています。 島根県報道発表資料(こちら)を参考に作成した見分けるポイントを下に書いておきます。 上の資料ではツヤアオカメムシとの比較もされていますが、これとはツヤの有無で区別できるので、ここでは省略します。
① 体型はアオクサより縦長
② 触角の第3・4・5節に褐色部がある。 アオクサは同じ所が黒色。
③ 前胸背側角は角質部外縁よりあまり飛び出ない。 アオクサはかなり突出する。
④ 結合板の外縁後端部に小黒点。 アオクサは各節中央後端部にも小黒点あり。
ダイコンにいたミナミアオカメムシ 2014.10.10. 堺自然ふれあいの森 |
2014-10-21
トキワハゼ(ムラサキサギゴケとの比較)
上はトキワハゼで、10月7日に堺自然ふれあいの森で撮ったものです。
トキワハゼはムラサキサギゴケとよく似ています。 両者の違いとして、ムラサキサギゴケはランナーを出して四方に広がるのに対し、トキワハゼはランナーを出さずに立ち上がると、あちこちによく書かれています。 しかしこのことを重視しすぎると、ムラサキサギゴケをトキワハゼと見誤ってしまうことがあります。
上は5月の中旬に撮ったもので、ランナーは出ておらず、立ち上がっていますが、ムラサキサギゴケです。 日陰ぎみのところに生えていたもので、茎が徒長し、葉が上の方までついていますが、こんな姿のムラサキサギゴケもあるということで載せておきます。
下は上の株の花の拡大です。
トキワハゼもムラサキサギゴケも、花が咲き始める4月頃は、地面に貼り付くようにして花をつけています。 その後、両者とも花茎が伸びて立ち上がっていきます。 ムラサキサギゴケがランナーを出しはじめるのは、この後です。
上のような時期に両者を見分けるのは、やはり花の比較がいいでしょう。 花の大きさは、ムラサキサギゴケの方が大きいのですが、大きさの比較は、両者を並べてみればすぐに分かるのですが、片方のみの写真では比較は無理ですね。
トキワハゼとムラサキサギゴケの花の色を、上に載せた写真を比較すると、トキワハゼの方が白っぽいことが分かります。 また、花弁の模様も少し違います。
花の色や模様だけでは個体差があって心配な場合は、花弁の上唇部を見ればいいでしょう。 この部分がムラサキサギゴケでは深く切れ込み、尖る傾向にあるのに対し、トキワハゼの場合は浅く切れ込んで先が丸いか、全く切れ込んでいない場合もあります。 下2枚の水色の○で囲んだところを比較してみてください。
ムラサキサギゴケ |
トキワハゼ |
ムラサキサギゴケの花期は3~6月であるのに対し、トキワハゼの花は、常盤(ときわ)の名前のとおり、ほぼ1年中見られます。 この記事は両者を比較できる春の方が良かったのかもしれませんが、春は虫も鳥も花もいろいろあって、なかなか載せる機会がありません。
しかし、今ならどちらか迷う心配はありません。 今咲いているのは間違いなくトキワハゼでしょう。 と書いて、狂い咲きのムラサキサギゴケがあったりして・・・。
登録:
投稿 (Atom)