樹幹に細長い蘚類の群落があり、その蘚類に、上の写真のように苔類が着生していました。 この苔類をを調べようと採集しましたが、何に着生していたのかを知るために蘚類も少し持ち帰りました。
苔類はあまり無性芽をつけていないクビレケビラゴケでしたが、蘚類は以下の観察の結果はヒナイトゴケ(別名イトスズゴケ) Forsstroemia japonica でした。
以下はこのヒナイトゴケの観察結果ですが、そんなわけで、本種のフィールドでの写真は、上のような写真しかありません。
上は乾いた状態で、下は湿らせた状態です。 倍率は同じです。
一次茎は這い、そこから立ち上がる二次茎は密に羽状に分枝しています。
枝葉は長さ 0.5~1.3mmで、二次茎上部の茎葉は長いものでは2mm前後ありますが、上の写真では緑色が抜けていて分かりにくくなっています。
蒴は卵状球形で長さは1mmほど、蒴柄は2mmほどです。 上の写真では蒴柄が比較的長く伸び出しているようですが、拡大して見ると・・・
上の写真では、湿らせた状態のこともあり、半透明になっている苞葉が蒴柄にくっついていて、苞葉から抜き出ている蒴柄の部分はわずかです。
上には3種類の葉が写っています。 乾いた状態では葉は茎や枝に接しますが、縮れません。
上は枝葉です。 中肋は中部付近で終わっています。
上は枝葉の葉身細胞です。 葉身細胞は厚壁、厚角で、長さは 10~18μmです。
上は枝葉と茎葉です。
上は茎葉の基部です。
上は苞葉で、葉先は細く伸びて尖っています。 葉の基部についているのは・・・ 下はその部分の拡大です(少し回転させて撮っています)。
苞葉の基部についていたのは胞子体に生長できなかった卵細胞を持つ造卵器と側糸でした。
上は蒴歯です。 蒴歯はほぼ平滑な外蒴歯のみです。
(2021.4.15. 兵庫県養父市大屋町 三ノ宮神社)
◎ ヒナイトゴケはこちらにも載せています。